国に必要な届け出をせずに暗号資産の取引をした疑いで、東京都に住む男3人が逮捕されました。男らは100人以上の顧客から総額2億円あまりを集めていたとみられていて、その手口は巧妙に暗号資産のメリットを悪用したものでした。

<中西結香記者>
「今、容疑者の1人が三島警察署に入ります」

6月21日午前、三島警察署に連行された3人の男たち。金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたのは、いずれも東京都に住む、会社社長(69)と会社役員(39)、会社員(53)の男3人です。

警察によりますと、3人は共謀して2018年9月ごろ、金融庁の認可を得ずに、浜松市や三島市に住む高齢の女性らを勧誘し、暗号資産の取引事業を営んだ疑いがもたれています。53歳の会社員は温泉旅館やホテルで高齢者向けの投資セミナーを開いていて、これまでに102人の顧客から2億4000万円ほどを集めていたとみられています。悪用された暗号資産は近年、その存在感を高めています。

静岡市で飲食店を経営する男性は、3年前から暗号資産の取引を始めました。

<暗号資産を取引する男性>
「大損するかもしれないですが、儲かるかなと思って、軽い気持ちで始めました」

暗号資産は他の金融商品に比べて価格の変動率が高く、いわば一獲千金を狙えると人気を集めてきました。実は、男らはこの特徴を悪用したのです。

<犯行のイメージ>
「損失を取り戻せますよ」

53歳の会社員の男はかつて投資で失敗した人たちの名簿を入手し、暗号資産の投資で儲けようと持ち掛けていたと見られています。暗号資産の取引をする男性のもとにも特定の銘柄を勧める電話がしばしばかかってくるといいます。

<暗号資産を取引する男性>
「周りの人でかなり損をしている人がいるので、自分は一つの銘柄に絞らず、分散して、何個かの銘柄でやるようにしている」

69歳の会社社長と39歳の会社役員は容疑を一部否認。53歳の会社員の男は否認しています。

岸田政権は経済活性化のために「貯蓄から投資」へのシフトを進めていく考えです。損したお金を取り戻したいという気持ちを巧みに操った今回の事件。投資の際は安全性を見極めることが求められます。

#LIVEしずおか 6月21日放送