緊急事態宣言下でも感染拡大は止まりません。今、深刻なのは、感染者の急増によって入院調整が追いつかない問題。新型コロナの感染が判明後「自宅療養」となっている人は、前の週から１．７倍に急増し、この週末、全国で３万人を突破しました。「今、私がコロナになったら・・・」。呼吸器に疾患を抱えた女性（３９）のビデオ日記から見えてきた過酷な状況とは。
「きょう（１５日）は、陽性が判明して１日目の夜です。保健所からの連絡は一つもなく」（息子と２人で暮らす女性）
京都府内のアパートで大学生の息子と２人で暮らす３９歳の女性。もともと呼吸器に疾患があり、普段から酸素吸引が欠かせないといいます。本来であれば１８日、手術を予定していましたが、先週、ＰＣＲ検査で陽性が判明し手術は延期に。まずはコロナの治療のために入院を希望していますが・・・。
「先ほど初めて、１回目の保健センターより連絡がありました。今現在の症状・状態を聞かれました。それのみでした。とりあえず、ちょっとしゃべるだけでもしんどいので」（息子と２人で暮らす女性）
自宅療養を始めてまず直面したのが・・・。
「一番、今、不安なことは同居する家族への感染」（息子と２人で暮らす女性）
息子への感染のおそれです。狭いアパートで２人を仕切るのはふすま１枚。トイレも風呂も当然共用です。
さらに。
「２週間食事をどうやって過ごそうか、今一番悩んでいます」（息子と２人で暮らす女性）
息子も濃厚接触者に指定されているため、外出を控えていて、今ある食料でしのぐつもりだといいます。
療養２日目。
「ごみも捨てられないので、このままではごみ屋敷になってしまいます」（息子と２人で暮らす女性）
ウィルスが付着した可能性のあるゴミをどう捨てれば良いのか保健所にたずねたものの折り返しがなく、徐々にごみがたまり始めました。
一方、入院調整は・・・。
「入院の方も伝えてはいるんですが、どうなっているかもう一度（京都府に）聞きます」（保健所の職員）
この日も入院は決まりません。
療養３日目。
「あ、熱は３７度６分です。これも日に日に、ちょっと上昇傾向にはあります。今から薬を飲むので、（息子が）水を運んできてくれているので、こんな感じで持ってきてくれています」（息子と２人で暮らす女性）
ただ、３日目に入ると
「これがうちの食料の在庫です。鍋つゆなどがありますが、野菜がないので使うことができません」（息子）
食料も少なくなってきました。
保健所は女性の状況を心配し、何度も電話をくれますが依然、入院先は決まりません。
「毎日ね、体調確認させていただいて、入院コントロールセンターの方に情報提供させていただくんです。息苦しいという状況でいらっしゃるので、私どもは京都府の方にそれをお伝えさせていただきますのでね、もうしばらく自宅で療養をお願いしたいんです」（保健所の職員）
急激な感染拡大に入院先の調整が追いつかないという現実。京都府では、高齢の感染者２人が入院先が見つからないまま自宅療養中に亡くなったことが、１８日新たに分かりました。呼吸器に基礎疾患を抱えるこの女性の入院先は、感染判明から５日目の１８日も見つかっていません。
こうした中、政府は新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正案をまとめ、自民党の会合で了承されました。改正案では、緊急事態宣言のもとで、知事の休業や時短などの「命令」に応じずに違反した事業者には、「５０万円以下の過料」を科すと定めています。
また、「まん延防止等重点措置」を創設し、緊急事態宣言前でも命令に応じない場合には、「３０万円以下の過料」を科すとしました。一方、要請に応じた事業者に対する国や地方自治体の支援については、「講ずるものとする」として、努力規定ではなく義務規定としています。
１８日の会合では、感染者が入院を拒否したり入院先から逃げた場合に“刑事罰”を設け、「１年以下の懲役、または１００万円以下の罰金を科す」とする感染症法改正案についても了承されました。
政府・与党はこれらの改正案を、国会で来月上旬には成立させたい考えです。
（Ｎスタ 2021年1月18日放送）
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