新型コロナウイルス感染症の影響で医療体制の逼迫(ひっぱく)が続く中、注目されているのが「オンライン診療」です。東京・世田谷区は8月からオンライン診療を活用し、医療現場の逼迫の緩和につなげています。
世田谷区では発熱や喉の痛みといった症状があるものの発熱外来を受診できない区民に向けて、8月10日からパソコンを通して医師が患者の状況を直接聞き取り、電子カルテに記入するといった「オンライン診療」を行っています。比較的症状の軽い人をオンラインで診察することで、高齢者や基礎疾患のある人など重症化リスクの高い人が病院などで受診できる環境を整えられると期待を寄せます。世田谷区保健所・健康企画課の大谷周平課長は「区としてはオンラインに特化した診療を支援することで、若い患者がオンライン診療を受けやすい環境をつくっていく一方で、対面の医師には対面の診療が得意だったり対面が必要な患者に特化していく。これによってコロナの地域医療の逼迫を解消し、区民の不安解消につなげていきたい」と語ります。
診察は平日の午前10時から午後6時まで5人の医師が対応に当たり、1日最大で330人まで診察ができるということです。また、医師が診察で患者に薬が必要と判断した場合、バイクや車で患者のところに薬が配達されます。
区によりますと、オンライン診療の導入によって、医療機関にかかれない患者が相談する発熱センターの対応件数がおよそ4分の1に減っているということです。世田谷保健所の大谷課長は「発熱相談センターは医療機関で受診できなかった人から電話をもらうが、一番多い時で7月21日に135件『受診できなかった』と電話があった。それが今では30~40件に減っている」と話しています。