https://www.star-law.jp/news/post-1101.html
平成30年6月,著作権法違反を理由にゲームバーが摘発されました。
ゲームバーは,基本的に,飲食を行うことができて,ゲームを楽しむことができる,他人がゲームを行っている様子を視聴することができる場所です。
ゲームは映画の著作権にあたるため,ゲームの著作権者の許可なく,不特定の者がゲームを視聴することができる状態でゲームのプレーを行わせる行為は,著作権の一つである頒布権の侵害になります。
詳しくは,こちらをご覧ください。
それでは,飲食が行うことができて,モニターを通じてスポーツ観戦を行うことができるスポーツバーは,問題ではないのでしょうか。
著作権法では,「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物」を「映画の著作物」に含むと規定されています。
モニターを介した野球やサッカーなどの競技を行っている様子は,視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているとはいえます。
ただし,放送と同時消えていくテレビの生中継は「物に固定されている」とはいえないため,映画の著作物にはあたりません。
なお,技術的に厳密にみれば,カメラで撮影し,テレビ等で放送する過程で機器等に一時的に固定されているといえなくもないのですが,映画の著作物の「固定」は,このような一時的なものは含まれません。
また,著作権法では,「物に固定されているもの」と規定されず,「物に固定されている著作物」と規定されている理由は,カメラを設置して人が通るシーン等を自動的に撮影する防犯カメラの映像が含まれないことを示しています。

映画の著作物といえるためには,カメラワークの工夫,カット等の手法,フィルム編集等,何らかの知的な活動が行われ,そこに創作性(個性)が認められる必要があるのです。

野球やサッカーなどの競技映像は,視聴者に競技の様子を的確に伝えるため,あるいは,より臨場感をもって伝えるため,複数台のカメラを使用してカメラワークに工夫が施されていますので,創作性(個性)が認められるわけです。

野球やサッカーなどの競技映像は,生中継で瞬時に消えていくものについては,著作権法上物に固定されているとはいえないため映画の著作物ではありませんが,録画放送の場合には,磁気テープ,ディスク等に固定されているために映画の著作物になります。intellectual_01.jpg

それでは,競技映像を生中継するとともに,録画されている場合はどうでしょうか。

競技映像の生中継を見ていましても,ほとんどのもので,決定的なシーン等の録画映像が放送中に流れています。

ですから,実際には,生中継といっても放送と同時に録画を行っていることがほとんどであるといえます。

私たちがモニター越しに見ている中継映像が同時録画されている場合に,中継映像影像が映画の著作物にあたるのでしょうか。

ゴルフの中継のように実際に競技が行われている時間から後追いで録画映像を流している場合,モニターに流れている映像は映画の著作物であることに疑いの余地はありません。

ここで問題として取り上げているのは,競技が行われている様子を時間差なく見ている場合に,放送局側が映像を録画している場合に,私たちが見ている映像が著作物にあたるのかということです。

この点については東京地裁の裁判例があります。 東京地裁では,「テレビの生放送についても,その影像が生中継と同時に録画されているような場合には,固定性の要件を満たし,著作物性を有するというべきである。」と判断され,この判断は,東京高裁でも維持されています。

競技映像が生中継されている場合であっても,中継と同時に録画されているというのが通常でしょうから,生中継のスポーツ競技映像も映画の著作物にあたると考えておくべきです。

スポーツ競技の生中継をスポーツバーで上映する行為は,著作権法的にみて問題ないという意見を聞くことが少なからずあります。

しかし,著作権法上問題ないのは,生中継されているスポーツ競技の映像が並行して録画されていない場合であって,一般的に生中継の映像が録画されていないということなどなく,著作権との関係で問題になると考えておくべきです。

さらに,スポーツ競技の生中継が同時録画されていない場合であっても,スポーツ競技の生中継をスポーツバーで上映する行為は,影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達するという放送事業者の権利を侵害していることになります。

スポーツ競技の生中継映像が同時録画されている場合には,当該映像の著作権者及び放送事業者の許可を得る必要があり,放送と同時に消滅していく映像であったとしても放送事業者の許可を得なければ,スポーツバーでスポーツ競技の生中継映像を放映することはできないのです。

https://copyright-qa.azurewebsites.net/Qa/0000023
生放送は著作権法上の「映画の著作物」に当たりますか。 | Copyright Q&A 著作権なるほど質問箱
放送番組のように、放送と同時に消えていく性格のものは映画の著作物にあたりません。

著作権法第2条第3項には、「映画の著作物」は、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むもの」と定義されており、フィルム媒体によるものの他、ビデオテープやDVDなどの記録媒体に固定された映像作品が映画の著作物に該当します。
https://ja.wikipedia.org/wiki/著作権侵害#刑事罰
著作権を故意に侵害した者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処せられる(懲役と罰金が併科されることもある)(119条)。

また、法人の代表者、従業員等が著作権侵害行為をしたときは、行為者のほか、当該法人も3億円以下の罰金に処せられる(両罰規定)(124条)。

刑事罰(懲役刑、罰金刑)が科されるのは、著作権を故意に侵害した場合のみである。過失により著作権を侵害した場合は、刑事罰は科されない(刑法38条1項)。

いわゆる「違法ダウンロードの刑事罰化」として、「私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、2年以下の懲役若しくは 200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」[5]が定められている。違法ダウンロードの刑事罰化における「有償著作物等」とは、「録音され、または録画された著作物、実演、レコードまたは放送もしくは有線放送に係る音もしくは影像であって、有償で公衆に提供され、または提示されているもの(その提供または提示が著作権または著作隣接権を侵害しないものに限る。)」である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/違法ダウンロード#違法ダウンロード刑事罰化