政府は第8波に備え、新たに各都道府県が「対策強化宣言」を発出できるようにすると発表。これにより知事は市民に対し、大人数での会食やイベントへの外出自粛要請、さらに、医療ひっ迫が想定される場合、帰省の自粛やイベントの延期等も要請できるようになります。
20代女性)「嫌だな。3年間コロナが流行ってるのに、同じ対策しかできないのかなって」

▼入院患者の多くは“コロナ軽症”

しかし、すでに医療危機は始まりつつあります。札幌市のこちらの病院では、一般コロナ病床は20床が用意されていますが、既に16床が埋まっています。北海道では今週、過去最多の新規感染者が確認され、高止まりの状態が続いています。

KKR札幌医療センター 齋藤拓志 診療部次長)「保健所から札幌市内で受け入れができる病院がかなり減ってきて、病床数がかなりまずいという連絡がきています」

救急患者の受け入れにも影響が出ています。コロナ軽症のこの患者さんは療養中に骨折。他の病院で受け入れができず、搬送されてきたといいます。入院患者の多くはコロナ軽症ですが、コロナ以外の治療が必要なため病床が埋まっているのです。

齋藤拓志 診療部次長)「一番の問題は、救急治療が終わった後の受け入れ先の(リハビリなどを行う)慢性期の病院が、次々とクラスターを起こしていること。そうなるとそこに患者さんが送れなくなってしまう。すると、うちの病院のベッドが、送れない患者さんで埋まってしまい、新たな救急の患者を受けられなくなってしまう」

▼厚労省「“2類相当”見直し議論は止まっている」

こうした中、再燃しているのが、新型コロナの扱いを見直すかどうかの議論です。兵庫県の尼崎市と市医師会は11月4日、新型コロナの感染症法上の分類を「2類相当」から、インフルエンザと同等の「5類相当」に変更するよう、厚労省へ要望書を提出しました。
現状の「2類相当」では発熱患者などの診察や入院を一部の指定医療機関に限定しています。そのため、診療する“受け皿”が少ないことに加え、例えば心筋梗塞や骨折などの救急患者がコロナ陽性だった場合に、搬送先の確保に時間を要し、治療が遅れるケースがあることも問題になっています。
「5類相当」への引き下げの検討は、実は2020年から行われていますが、感染拡大の“波”が来る度に、立ち消えになってきた経緯があります。

岸田総理)「専門家の意見も伺いながら議論は続けていきたいと思っています」
10月には水際対策緩和なども始まり、感染者数は落ち着きをみせていましたが…
岸田総理)「議論を続けています」

私たちの取材で、厚労省での議論も、現状、ストップしていることが新たにわかりました。

記者)「Q.5類への引き下げ議論は今どうなっている?」
厚生労働省担当者)「今は止まっています。少し前は多少議論の準備に取り掛かっていましたが同じ部署で今国会の感染症法改正に向けた対応と、第8波への対応を同時にやっているので、分類見直しの議論はほぼゼロといっていいです」

▼分科会「感染力と変異が分類見直しの障害」

東京都によると、新型コロナの“波”ごとの死亡率は下がってきていて、第7波ではおよそ0.09%でした。
新型コロナの扱いを見直し、多くの病院で一般診療ができるようにならないのでしょうか。分科会メンバーの釜萢委員は、「感染力」と「変異」を理由にあげます。

新型コロナ対策分科会 釜萢敏委員)「発熱された方に対応する受け皿を更に増やしたいという思いはみんな共通して持っていて、今全力で取り組んでいるんですけれども、感染対策はきちっとやって診療に従事しないと医療従事者みんな罹患してしまって医療機関を止めなければならないということにもなる。「そしてウイルスの株が大きく変わることによって、だいぶ性質が変わってきてしまうことですね」

感染力が強く、病院側の強力な感染対策が求められるため、多くの医療機関で一律に診ることが難しいと指摘します。
都内で発熱外来を開く医師は…

グローバルヘルスケアクリニック 水野泰孝院長)「どうしても“2類相当”という言葉の重さが医療を提供する側としては重い響きがある。その響きで『当院は見られない』などある種言い訳みたいなものが出ている。」

“受け皿”を増やすために必要なことが2つあるといいます。

水野泰孝院長)「一番の変えなきゃいけないことは『1.特別視をしない』ということ。そして我々医療従事者へ『2.感染対策のスキルが浸透』していって医療従事者側に安心感とかそういったものを与えられることによって医療体制が元に戻っていくと思う。新型コロナよりも前に発熱患者さんを診ていた医療機関であれば、少なくとも熱の患者さんを診療できるように協力をいただきたい」

サタデーステーション 11月12日OA
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