新型コロナウイルスの軽症者にも使える塩野義製薬の「ゾコーバ」が緊急承認されました。初の国産の飲み薬に期待が膨らむ一方で、感染者は依然増加傾向…。
 年末年始はどうなるのか?インフルエンザの同時流行など、気になる疑問を専門家が解説します。

【関西福祉大学・勝田吉彰教授】
――「ゾコーバ」の存在でコロナが普通の風邪に近づいた?

 「普通の風邪」というのが難しい表現ですが、ウイルスの変異が今後人間と共存できる方向に行くのか、重症度や感染力が高まる方向に行くか現時点ではわからないため、変異株の今後の動向を見極める必要がある。

――12月初めには医療現場への供給開始予定とのことですが、その頃には広く普及するようになる?

 1日1回5日間の1クールだけでも10万円近く(公費負担で)かかる。全ての感染者に処方すると予算が足りなくなることが考えられるため、条件付きの処方になるのでは。

――今年はコロナとインフルの同時流行が懸念され、政府はインフルエンザとコロナウイルスの同時検査キットを市販化する方針を固めました。インフル・コロナ同時検査キットの使い方や注意点は?

 例えばインフルは発症から12時間という目安があるため、タイミングをきっちり見計らって検査キットを使用してほしい。
 また、この検査キットも100%の精度ではないので、本当は「陽性」なのに「陰性」で出ることもあるかもしれない。1度「陰性」が出ていても、症状が悪くなるようであれば2回目をやってほしい。
 少しでも医療ひっ迫を防ぐために自己検査するのが望ましい。

――年末年始にかけて予想される感染の波は「第7波」のペースと同等という試算があるが?

 年末にかけて「第7波」を超える可能性が高い。感染者数を全て把握できているわけではないため、試算を超える感染の波が来るのではないか。

――年内には新たな変異株に置き換わりが進むという予想もあるがBA.1、BA.5対応のワクチンでも効果はある?

 ワクチンは3回以上接種すると「免疫記憶」が出来て、その免疫記憶は変異株にもある程度対応できるため、効果があると考えて良い。