歌舞伎俳優の市川團十郎(45)、市川ぼたん(11)、市川新之助(9)が10日、都内で成田屋親子『伝承への道』の記者懇談会を開いた。
冒頭で團十郎は「娘と倅と『伝承への道』ということで、さまざまなところで基礎的なところと、次の時代で少しでも芽吹いてもらえるようにと考えながら家族でできることは何かな、と」と公演の理由を説明。ぼたんは「2つの演目で出てくる女の子は私と同じぐらいの年齢。当時の女の子の気持ちになりきって、日々のけいこに励んでいます。皆様、ぜひ見に来てください」と話し、新之助も「お客様が楽しめるように精いっぱい務めますので、ぜひ見に来てください」と呼びかけた。
新之助とぼたんには、父とけいこの師匠である團十郎の違いについての質問が。新之助は「お父さんの時は優しいです。おけいこの時も丁寧に教えてくれる」とし、「違いは…」と言ったところで言葉が出て来なくなってしまった。真剣に悩むも、うまく表現できない姿を見た團十郎は「はい、パスで」と後を受けて会場には笑いが起きていた。
一方のぼたんは「普通に遊んでくれたり、ご飯を一緒に食べてくれるお父さんはスゴく優しい。私たちのことを思ってくれているなと感じています。おけいこ中のお父さんは、私たちのことを考えて、いろんな工夫をして、直した方がいいところを、たくさん指摘してくれる。家では優しいけど、けいこの時は言うことは言ってくれる。自分にしては優しくてステキなお父さんだと感じます」と感謝。「違いは、お父さんの雰囲気。指摘したりする時と、優しいお父さんは雰囲気が変わる。自分に対する思い、感情が違うように自分には思う。そういうところが、おけいこの師匠と家でのお父さんの違いかなと思います」と話していた。
一方の團十郎は「2人によって、教え方を変えてます。人間が違うので。勸玄(新之助)には勸玄に、麗禾(ぼたん)には麗禾に」と明かす。「こっちは、この方がいい、こっちはこっちの方がいいというのは見ていたらわかるので。こういう状況では、させない方がいいことも僕の中では見えている。それに対して、羊飼いのように羊を寄せていくような感覚で、2人を見ている」と親して、師匠としての思いを口にしていた。
今回は、「伝統の継承、未来へ」が1つのテーマ。ぼたんと新之助が名前を受け継ぎ、本格的に「伝承への道」を切り拓いていきたいと、この公演を開催することになった。本作の演目は、座談会では成田屋親子が登場。「子守」清元連中は、ぼたんが清元の演奏と息を合わせた軽快な踊りを見せる。「鳶奴」長唄囃子連中は市川新之助がにぎやかな演奏とともに戦物語風の振りを見せるほか、井戸の鶴瓶棹を手に鳥を捕る振りなどユーモラスに演じる。「男伊達花廓」長唄囃子連中では團十郎が江戸の庶民の憧憬の的であった男伊達、御所五郎蔵を演じ、遺恨を抱えた別の侠客との立ち回りを経て遊郭の恋人の元へ向かう物語。市川ぼたんとの共演も見どころとなっている。
東京公演は3月30日に東京国際フォーラムホールC、神奈川公演は3月31日に神奈川県民ホール、大阪公演は4月15日、16日にNHK大阪ホールで行われる。
【関連動画】
市川ぼたん、両親との昔の思い出振り返る 團十郎が新之助は「ずっと寝てる人」と明かし会場和む 市川團十郎・ぼたん・新之助 成田屋親子『伝承への道』記者懇談会
#市川ぼたん #市川新之助 #市川團十郎 #市川海老蔵 #歌舞伎