野球世界一の座を争うWBC=ワールド・ベースボール・クラシックでは、優勝を決めた日本代表の選手たちが金メダルを獲得しました。金といえば、価値が高い資産として知られていますが、その取引価格がいま上昇しています。背景にあるのは世界的な金融不安です。
富と名誉の象徴ともされる「金」。そのまばゆい輝きがあらためて注目されています。「金の聖地」ともいわれる静岡県伊豆市の土肥金山には、3月23日も観光客が次々と訪れていました。
世界一の重さを誇る250kgの金塊などに触れることができるとあって、持ち上げてみようとするなどケースに次々と手を入れてチャレンジしていました。
<観光客>
「持って帰れ、持って帰れ、頑張れ頑張れ」
Q持って帰りたいですか?
「持って帰りたい」
「金メダルくらいのサイズに切ってさ」
土肥金山では、WBCで日本が金メダルを獲得したことにあやかって、金つながりで観光客が増えることに期待しています。
<土肥金山 國分歩課長>
「金のパワーで、たくさんお客さんに来場いただいています。金メダルですので、金のパワーを多くのお客さんに感じていただけるとうれしい」
そのきらめきがパワーを感じさせる金ですが、いま世界では「安全資産」としての存在感が増しています。きっかけは世界的な金融不安。3月10日にアメリカのシリコンバレー銀行が経営破綻したことを受け、その価値が一気に跳ね上がりました。
田中貴金属が発表している金の店頭小売価格は、銀行の破綻から右肩上がりに。20日には1グラム9,303円を記録、過去最高値を更新したのです。
<買取専門店 大吉 渡邉萌香店長>
Q金がたくさんありますが、総額でいくらですか?
「こちら全てで142万円になります」
<記者>
「142万円もするんですね」
静岡市で金やブランド品などを買い取る専門店には、金の価格の高騰で問い合わせが増加しています。
<買取専門店 大吉 渡邉萌香店長>
「2022年の金相場が最高値を更新した時も金の買取が増えた。今回も相場高騰によって、現在もじわじわ客が増えている」
金の価格は、しばらく高止まりする見込みですが、今後の予想をするのは難しいといいます。
<買取専門店 大吉 渡邉萌香店長>
「今後もインフレ懸念や金融緩和などによって、金相場が高値で推移することもある。ただ、金相場は常に変動するので、将来的にどうなるかは予想が難しい」
さまざまな要因が相まって注目を集める金。その美しさで私たちを魅了しますが、資産としての扱いには注意が必要です。