大阪府に住む井出さん夫婦の長女・安優香さん(当時11歳)は、2018年に下校中に重機にはねられ亡くなりました。当時重機を運転していた男は刑事裁判で危険運転致死傷などの罪で懲役7年の刑が確定し、今も服役中です。
 その後、夫婦らは男などに対し、損害賠償を求める民事裁判を起こしました。しかし、その裁判で争点となったのが、生まれつき難聴だった安優香さんの逸失利益でした。逸失利益とは「将来得られるはずの収入」です。 
 夫婦らは安優香さんの逸失利益が耳が聞こえる人と同じであると主張しているのに対し、運転手側は聴覚障害者はコミュニケーションができず、就職が難しいなどを理由に耳が聞こえる女性の40%であると主張。
 目の前に立ちはだかったのはこれまで同様の裁判で障害者が健常者と同等の逸失利益を認められた前例がほとんどないという現実でした。障害を理由に将来の可能性が否定されてしまうのか?この問題を社会に問いかけます。

(2019年12月26日に放送しました)