受験シーズンの最中に、コロナの感染者が急増しています。今後感染状況はどうなっていくのでしょうか。

 感染症に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授に聞きます。

■インフルと新型コロナの患者数が逆転

 東京都の新型コロナウイルスの感染状況が発表されました。

 1月15日から21日までの1医療機関あたりの感染者数は8.33人。今年に入ってからも伸び続けています。この状況は、どう捉えていますか?

松本主任教授:今、急に(感染者数が)立ち上がっていますので、第10波に入っていると思います。外来をしていると、1カ月ぐらい前までは、インフルエンザが主体でした。

今は、新型コロナの感染者の方が多く、逆転しているような状況です。おそらく、変異株の影響が大きくなっているのではないかと思います。

■変異株「JN.1」急増も…「状況だいぶ変わってきた」

 そこで気になるのが、新たな変異株「JN.1(ジェイエヌ・ワン)」です。

 東京都では12月上旬(12月4日~10日)には感染割合が17.2%と2割に満たなかったのですが、1月(1月1日~7日)に入って半分以上が「JN.1」に感染しています。

 症状は、発熱、せき、のどの痛みという従来の新型コロナウイルス(オミクロン株)と同じような症状があるということですが、松本主任教授は「JN.1」をどう見ていますか?

松本主任教授:少なくともコロナもインフルエンザも症状だけでは分かりづらいです。ましてや、「JN.1」はどういう特徴かと言われても、個人差が多いので、症状ではなかなか区別はつきません。

ただ全体的な傾向として、すでに日本人の半数ぐらいは、これまでの経過でコロナに感染していて、かつワクチンも打っています。ある意味、免疫をもった状態です。それでも「JN.1」が広がるということは、免疫を逃れる力は強いでしょうし、感染力が強いと思います。

気になるのが、重症化するかどうかです。先行しているアメリカは、もう「JN.1」が全体の8割ぐらいです。それでも、重症患者が増えたとか、死者が増えたという報告はありません。

重症化に関しては、従来のオミクロン株と同じじゃないかと思います。

 松本主任教授は、実際に患者を診られていますが、入院患者はそんなには多くはないのでしょうか?

松本主任教授:第9波の時も、それなりの規模の感染者がいました。入院患者の要請がどっと来るんじゃないかと、私たちも警戒していました。しかし第9波の時は、入院要請はそれほど多くありませんでした。

理由の1つは免疫があること、もう1つは重症化予防の薬が使えることです。状況はだいぶ変わってきたのだろうと思います。

■今後の感染状況は?…「2月ごろに一定程度のピーク」

 このグラフを見ると、また少しずつ感染者数が伸びてきているようにも見えます。今後の感染状況は、どのように分析されていますか?

松本主任教授:このままいけば、2月ごろに一定程度のピークがあるでしょう。第9波と同じぐらいのレベルの流行になったとしても、おかしくはないとは思います。

■気になる症状あれば…「まず検査・診察」が大切

 去年の5月に5類に以降後、初めての冬を迎えます。改めて、今の状況でコロナとどう向き合っていけばいいのでしょうか?

松本主任教授:流行が起こって感染者数も増えてというような状況になると、また社会の抑制などが気になるかもしれませんが、今はそういう状況ではないと思います。「みなさん全員マスクしましょう」ではなくて、「この場面ではマスクをしましょう」というのはあり得ると思います。

ただ、これから気をつけなきゃいけないのは「感染したらどうするか」です。

症状が出た時には、なるべく積極的に検査していただいて、自分の症状がコロナなのかインフルエンザなのか、あるいはかぜなのか、それが分かると状況がだいぶ変わります。

少なくとも、コロナの場合は後遺症があるので、見逃していて後でいろんな症状が出てくるよりは、一旦、何の感染なのかというのを気をつけたほうがいいと思います。

高齢者や重症化リスクがある方は早めに検査して、コロナだったとしたら早めに受診して薬をもらう。そうしたことで、対処できるんじゃないかと思います。

少なくとも調子が悪い時は、職場や学校に無理に行かないことが大事です。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年1月25日放送)
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