福島第一原発事故から10年が経ちました。事故を政府から独立した立場で検証した「国会事故調査委員会」の黒川清元委員長は、この10年と新たな災害ともいえる新型コロナへの対応をどう捉えているのか。社会部・松井記者の報告です。

 国会事故調は半年余りの調査で報告書を発表し、事故の原因は大震災が起きる以前、東京電力と規制当局や経産省が当然備えておくべきことを実施していなかった人災と結論づけました。

 国会事故調・黒川清元委員長:「IAEA(国際原子力機関)では、事故が起こると『まずいな』と色々な規制を作っていくわけですよ。小さな失敗があるとね。ところが日本はそれをきちんとやっていないことはわかっていた。みんな知ってました。『なんで日本はこれをやっていないのと言うと(日本人のIAEA担当者は)『日本では基本的に事故が起こらないことになってます』みたいなことを言ってるから『変だなと思ってましたよ』という話を結構みんな知ってました」

 あらかじめ考えておくべきことを自分で考えようとしない。こんな日本人の姿勢は事故後10年経っても変わっていないと指摘します。

 国会事故調・黒川清元委員長:「企業でも何か困ると役所に相談するってことはどうして?困ったら何で役所に行くわけ?役所は『お上』だと思っているんじゃないかと。私たちは一体何者だという『大きな枠組み』を考えていないからだよ。常に各論で勝負するんだよ。これですかあれですかってなるからいつまで経っても変わらないんだ」

 黒川元委員長は新型コロナウイルスへの対応でも原発事故の教訓は生かされていないと感じています。

 国会事故調・黒川清元委員長:「福島とコロナの共通点は、両方ともみんなが恐れているのが放射能とウイルスなんだよ。見えないでしょ。見えないものに何か起きていることは日本の役所も日本人は大体わからない。頭が動かない」

 国会事故調・黒川清元委員長:「武漢ではやって次は朝鮮半島かこっち(日本)と思ったらダイヤモンドプリンセスだった。(船には)何千人という人がいたので、一気に日本は何も(思考が)動かなくなってしまった」

 長期的な感染予防の戦略ではなく、クルーズ船の感染にメディアを含めて国全体が集中してしまう。日本のコロナ対応を検証して今度こそ次に生かすべきだとしています。

 国会事故調・黒川清元委員長:「今じゃなくていいので独立した(調査)委員会を作るというのはとても大事だと思います。
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