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伊藤時男さんの言葉 精神医療国家賠償請求訴訟 東京地裁不当判決 2024年10月1日



伊藤時男さんの言葉 精神医療国家賠償請求訴訟 東京地裁不当判決 2024年10月1日

【原告伊藤時男さんの言葉】2024年10月1日
東京地裁の不当判決に対する決意表明。精神医療国家賠償請求訴訟は棄却されたけれど高裁で闘うと。皆さん、応援していきましょう!

「病院に入院中に、仕事で院外作業の養鶏場に行った時、養鶏場の支店の前を通って、民家の前を通った時、女の人が出てきて「私の家の前を通らないでください」だって言われて。
そんなことを言われて、もうショックでした。そんな偏見があるから、精神病院の患者だっていう、それだけで偏見を受けた時のむくいは、本当に計り知れません。そんなことが今でも走馬灯のように頭をよぎります。
あんな思いをしたくありません。だから、そういう思いを、精神病院の偏見をなくすために、精神障害者の社会的入院、施設症に陥っている人を一人でもなくすために、裁判に出て闘っておりますが、なかなか思うように行きません。今日は棄却されましたけども、高裁まで行って闘うつもりです。
皆さん、応援してください。
よろしくお願いします!」

2024年10月1日東京地裁不当判決への報告会&記者会見後の交流会での最後の発言。

判決主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

判決文、東京地方裁判所判決に対する声明や裁判資料などはこちらに掲載されています。
精神医療国家賠償請求訴訟のホームページ

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アップ主より
10月1日、東京地裁は「原告の請求を棄却する」と申し渡しました。判決理由は法廷で読みあげることもなく、渡された判決文では、時男さんの病状に全ての問題を還元して、精神医療政策の問題には全く触れず「原告の請求には理由がない」と一蹴していました。
伊藤時男さんは30年以上入院していた福島第一原発近くの病院に入院していました。病状は安定しているので、時男さんは「院外作業」として養鶏場でフルタイムで10数年働いていました。時男さんは働いたら退院させてくれるだろうと思っていました。主治医にこれだけ働けるから退院したいと言ったそうです。ところが信じられないこと退院は拒否されたそうです。院外で10数年働いてきている人がなぜ退院できないのでしょうか?入院ではなく収容所?
東京地裁は、この事実があるのに、病状が不安定だから入院していたことは問題はないと、決めつけたのです。判決は「棄却する。訴訟費用は原告が負担」とだけ言って、棄却理由さえ読みあげませんでした。時男さんが社会的入院に至った、国の責任を個人の問題にすり替えました。原告と傍聴席からの怒りを回避したかったのかのようです。全くの不当判決でした。本当に腹立たしいことです。
日本の精神医療のシステムが収容的で無期限の入院=「社会的入院」を生み出していることで退院できず、伊藤さんが人生の貴重な時間を奪われたことに、なんら言及していません。
その40年近い長期入院の中で「施設症」に陥って絶望していた時に、すぐ近くにあった福島第一原発が爆発し、近隣の精神病院4つが避難により廃院になりました。日本史上初めての原発爆発という大事件に遭遇して、奇跡的にその精神病院を退院し、関東の病院に移ったのです。伊藤さんは無事、避難するでことができたのですが、寝たきりの患者さんたちは避難の過程で多くの人が亡くなりました。
無事関東の病院に避難できた伊藤時男さんは、通っていたデイケアで石川医師に偶然出会いました。日本で初めての全開放という画期的な精神病院の三枚橋病院を作った石川信義医師だったのです。石川信義さんにはグループホームを勧められて退院したそうです。なんという奇遇でしょうか。
石川信義さんは、伊藤時男さんは長期入院の必要がなかったと言っています。時男さんは、2年のグループホーム生活の後、一人暮らしはじめ、ピアの活動もしているのです。こんな二つの奇跡に遭遇しなければ退院できない日本の精神病院はおかしい! 
この伊藤時男さんが原告となっている精神医療国家賠償請求訴訟は、日本の精神医療の仕組みが社会的入院を生み出し退院が困難だという不条理を問うているのです。「社会的入院」は伊藤さんの青春、壮年期と貴重な人生の時期を奪いました。
そして伊藤さんは、この裁判の原告になるべきかどうか長い間迷っていたそうです。自分のためだけなら原告にならなかったと言います。立ち上がったのは自分のためというより、退院したいのに社会的入院のまま亡くなって悔しい思いをしていった多くの仲間を思って、代表して国家賠償請求訴訟の原告になったと言っていました。
皆さん、無期限の社会的入院を生み出す日本の精神医療の不条理を問う、精神医療国家賠償請求訴訟への応援、協力をお願いします。)

【強いられた精神科病院40年入院 「国の隔離政策は誤り」の声は届かず 東京地裁の表面的な判決に原告怒り】2024年10月2日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/357787

【「自由こそ治療」なのに。精神医療国家賠償訴訟の判決を読み解く 】ポッドキャスト 2024年10月4日 (by小国綾子記者&鈴木英生記者)