23日の日本市場では円が対ドルで152円台に下落し、約3カ月ぶりの安値を更新した。米国の長期金利が3カ月ぶりの高水準で推移し、ドル買い・円売りが進んだ。株式は続落、債券は超長期債が軟調。

  堅調な経済指標を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが緩やかになるとの見方が強まる中、米10年国債利回りは時間外取引で4.23%程度と7月下旬以来の高水準で推移。米大統領選・議会選でトランプ氏・共和党が優勢との見方も米金利高・ドル高の背景にある。 

  SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、米大統領選の影響がなくなるまで米金利は下がりにくく、ドル・円も売りにくいとみる。27日投開票の衆議院選挙については、与党が過半数割れになった場合、株安で円高という公式通りには必ずしも動かない可能性があるとの見方を示した。

日本市場の為替・債券・株式相場の動き-午後3時過ぎ円は対ドルで前日比0.8%安の152円24銭東証株価指数(TOPIX)終値は0.5%安の2636.96日経平均株価は0.8%安の3万8104円86銭新発10年債利回りは0.5ベーシスポイント(bp)高い0.98%長期国債先物12月物の終値は4銭高の143円70銭外国為替

  円相場は1ドル=152円台前半に下落。米長期金利の上昇を受けてドル買い・円売りが強い中、200日移動平均線(151円37銭)を下回ったことでストップロスの売りが出て下げが加速した。

  東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、150円から152円の重要なポイントをしっかり抜けると円が売られやすいと指摘。「投機筋が円ロングの状態で、ファンダメンタルズに沿った米金利高・ドル高になっている以上、日本の通貨当局も介入する理由がない」との見方を示した。

  しんきんアセットマネジメント投信の加藤純チーフマーケットアナリストは、ドルは7月初めから9月半ばまでの下げの半値戻し150円76銭や200日線を超えたことから、今後2週間程度で見れば押し目は買ってもよく、少し上値を伸ばしたら利益を確定するような短期のトレーディングはありだろうとの見方を示した。上値は153円40銭付近とみている。

ドル・円の推移

 

 

株式

  東京株式相場は3日続落。米国でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が安かったことに加え、テキサス・インスツルメンツ(TI)の低調な業績見通しも嫌気されてディスコなど半導体関連銘柄が売られた。サービスや銀行、小売株の下げも目立った。

  ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、ファーストリテイリングやリクルートホールディングスといった日経平均の構成比率が高い銘柄が安いことに着目。衆院選を控えて「海外投資家が政局の不透明感から日経平均先物を売っているのだろう」と話していた。

  個別銘柄では、東京地下鉄(東京メトロ)が東京証券取引所プライム市場に新規上場。公開価格1200円に対して終値は1739円。時価総額は1兆円を超えた。インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、大型上場に伴い短期資金が株式市場に入ってくるとみている。

TOPIXの値動き

 

 

債券

  債券相場は超長期債が軟調。海外金利の上昇や、円安進行を受けた日本銀行の早期追加利上げ観測から売りが先行した。衆院選後の財政拡大政策への懸念もマイナス材料だ。新発30年債利回りは一時2.22%と8月上旬以来、新発40年国債利回りは一時2.535%と16年ぶりの高水準を付けた。

  りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、24日の20年債入札に対する緊張感があるほか、財政拡大への不安から取引が手控えられているとの見方を示した。現物債利回りが一時低下に転じたことについては、「昨日まで長いゾーンを中心にかなり売られた。いったん買い戻しが入ってもおかしくない」と言う。

新発国債利回り(午後3時時点)

 2年債5年債10年債20年債30年債40年債 不成立0.595%0.980%1.785%2.210%2.520%前日比 -変わらず+0.5bp+1.0bp+0.5bp+0.5bp

新発30年国債利回り推移