先週の米新規失業保険申請件数は2週連続で減少。ハリケーン「へリーン」と「ミルトン」が南東部各州に打撃を及ぼす前の水準に戻った。

キーポイント新規失業保険申請件数(19日終了週)は前週比1万5000件減少の22万7000件ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は24万2000件前週は24万2000件(速報値24万1000件)に修正

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「ハリケーン『へリーン』の影響は懸念していたよりも速くなくなりつつあるようだ。被災地域全体で経済への打撃が急激に広がっているわけではないことを示す前向きなサインだ」とリポートに記した。

US Jobless Claims Returning to Trend After Hurricanes | Continuing applications rose to the most in almost three years

 

 

  失業保険の継続受給者数は12日終了週に、2万8000人増の189万7000人と約3年ぶりの高水準となった。

  継続受給者数の増加は通常、職探しがより困難になっていることを示唆するが、最近のデータは2つのハリケーンの影響を反映している公算が大きい。

  ハリケーンが南部の広範囲を襲ったため、多くの人が仕事をできない状況が生まれた。その中には失業保険を直ちに申請できなかった人たちもいるとみられ、それがこの週次データの変動を大きくしている。

  また、エコノミストらは、ボーイングで続くストがサプライヤー各社での一時帰休につながった可能性を指摘している。

  ブルームバーグ・エコノミクスのイライザ・ウィンガー氏は「ストを行っている労働者は失業保険の受給資格がないが、その影響を受けるサプライチェーン上にある他社の従業員は申請可能だ」とリポートで指摘。「例えばスピリット・エアロシステムズ・ホールディングスは700人を一時帰休にする予定で、ストが続けばレイオフに踏み切る可能性がある」と記した。

  より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は23万8500件に増加した。

  季節調整前ベースの州別動向を見ると、ノースカロライナ、ジョージア、テネシーの各州で申請件数が大きく減少。いずれもへリーンの影響を受けた地域だ。一方、10月上旬にミルトンが上陸したフロリダ州では大幅に増えた。

  オハイオ、インディアナ、ミシガン各州などでも比較的大きな減少幅となった。これら地域では、製造業でのレイオフを背景に申請件数が最近増えていた。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Initial Jobless Claims Fall Back to Pre-Hurricanes Levels(抜粋)

(エコノミストの見方を追加して更新します)