10月31日(木)15時現在、非常に強い台風21号(コンレイ)は台湾に上陸して北北西に進んでいます。引き続き沖縄・先島諸島は台風の強風域に入っていて、昼頃には与那国島で最大瞬間風速で33.3m/sを観測しました。先島諸島では、この後も強雨や大雨、強風、高波に警戒が必要です。台風は週末に東シナ海で温帯低気圧に変わるものの、本州付近に停滞する前線が活発になるため大雨のおそれがあります。
▼台風21号 10月31日(木)16時推定
中心位置 台湾
大きさ階級 //
強さ階級 非常に強い
移動 北北西 30 km/h
中心気圧 955 hPa
最大風速 45 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 60 m/s
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出典・参考
気象衛星画像:NICT 情報通信研究機構
台風の中心は先島諸島から少し離れた所を通ったものの、非常に強い勢力で通過しているため風が強い状況です。与那国島や石垣島で、最大瞬間風速30m/s以上をを観測しています。
また、台風本体の雨雲の一番外側が先島諸島にかかり、午後になって波照間島で1時間に47.5mmの激しい雨が降りました。先島諸島では今夜から明日11月1日(金)にかけても荒天に注意が必要です。
2日(土)にかけて、先島諸島だけでなく沖縄本島や奄美の海上も波の高い状態が続きそうです。
キャプション 参考 世界各国の気象機関が計算した進路の数値シミュレーション結果
気象庁の台風情報は5日先まで進路が予想されていますが、その後の進路を数値シミュレーションを参考に検討すると、九州・四国・本州方面に影響が出る可能性が考えられます。
この図の細い線1本1本は、世界各国の気象機関が計算した数値シミュレーションの結果をあらわします。アンサンブル予報という手法による低気圧中心の計算結果で、初期値に意図的な誤差を与えることで予報の確実性などを検討する材料になります。
これらを比較すると、北上し始める頃から予測コースにばらつきがでることがわかります。現時点の予測では南シナ海方面に西進する予測は少数派で、台湾や先島諸島付近で向きを変えて本州付近へ北東進するコースが多数派となっています。
より高解像度のシミュレーションモデルでは、本州付近へ北東進するコースが多数派ではあるものの、台湾北部方面を通る予測が多くなっています。この場合は陸地の影響で勢力を落とす可能性も考えられます。
どのコースをたどるかは高気圧の勢力次第となりそうです。日がたつにつれて誤差は縮小する見込みですので、今後の情報にご注意ください。
5日先までに台風の暴風域に入る確率が0.5%以上の府県予報区は以下の通りです。(気象庁)
八重山地方
石垣島地方 15 %
与那国島地方 22 %
台風は台湾に上陸後は勢力を弱め、明後日2日(土)には東シナ海で温帯低気圧に変わる予想です。
本州付近には秋雨前線が停滞していて、台風から変わった温帯低気圧が前線と一体化して、西日本や東日本の広範囲に雨を降らせる見込みです。西日本では11月1日(金)から雨が降りはじめ、三連休スタートとなる2日(土)にかけて東日本に雨のエリアが拡大します。
特に九州北部から中国地方で雨量が多くなる見通しで、多い所では72時間で200mm以上に達する予想です。局地的にはさらに増え、晩秋としては記録的な大雨となるおそれがあります。土砂災害や河川の増水・氾濫、低い土地の浸水など様々な大雨災害の危険性が高まりますので、警戒が必要です。
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キャプション 平年の台風発生数
台風発生数の平年値は、10月が3.4個、11月が2.2個と、まだ平年でも台風が発生する時期といえます。一方、11月になると日本に近づく台風は大幅に減少し、1951年以降で本土(北海道、本州、四国、九州)に接近したものは3つしかありません。
ただ、1990年の台風28号が11月末に本州に上陸した事例もあり、まだ油断は禁物です。もし今回の台風21号が日本に上陸すれば、統計史上2番目に遅い上陸ということになります。
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北西太平洋や南シナ海で発生した台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風21号の名前「コンレイ(Kong-rey)」はカンボジアが提案した名称で、クメールの伝説上の少女の名前/それが元になった山の名前からとられています。
» レーダー 台風モード