エジプトのスエズ運河で座礁し、航路をふさいでいた巨大コンテナ船『エバーギブン』の船体の一部が浮き、少しだけ移動に成功しました。船尾は、岸から約100メートル離れたといいます。
今月9日、中国・広東省の港を出発したコンテナ船は、オランダに向かっていました。紅海を通り、スエズ運河に入ったのは23日です。しかし、しばらく進んだところで船は座礁。幅約300メートルの運河が、ふさがれた状態となりました。船は全長400メートル、高さ60メートルという世界最大級のコンテナ船です。現場では、土砂をかき出す作業が行われましたが、なかなか船は動きません。
アジアとヨーロッパを結び年間約2万隻の大型船が通るスエズ運河。衣料品や電子機器から自動車、石油、天然ガスなどが、ここを通じて運ばれます。その量は、世界貿易の12%に上るといいます。その大動脈が、コンテナ船の座礁でふさがれ、周辺では、約400隻の船が足止めされています。立ち往生を余儀なくされた貨物船の乗組員に話を聞きました。
立往生した貨物船の機関長:「ここから約50隻の船が見える。反対側には30隻ほど見えるはず。こんな事態は初めて」
コンテナ船は、少し動き出したものの、まだ先は見通せません。このまま運河が通れないとなれば、代わりに使われるのが、アフリカの最南端・喜望峰の沖を通るルートです。例えば、台湾からオランダへ向かう場合、スエズ運河を通るのに比べて、10日近く余分にかかります。
座礁が続くと、世界貿易の損失額は、1週間で最大1兆1000億円に上るとの試算も出ています。座礁の原因については、まだよくわかっていません。当初は、砂嵐で視界不良となり、突風に巻き込まれたとの見方が示されましたが、何らかのミスの可能性も浮上しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp