【兵庫県感染症等対策室長 山下輝夫医師インタビュー】
「コロナウイルスは風邪のウイルスで代表的なウイルスであってその中で変異、少し顔が変わってくることがある。ウイルスは2週間に1度ちょっとちょっとマイナーチェンジしているんです。マイナーチェンジするので見た目は分からないですよね。時々、大きく見た目が変わる変化が起こる。これがいわゆる、世間で言われている変異ウイルスになります」
【変異ウイルスの種類】
2週間ごとに変化すると言われる新型コロナウイルス。
その中でも大きく変化し世界で猛威を振るっているのが、
イギリス型、ブラジル型、南アフリカ型の3種類です。
厚生労働省は、全国の自治体に対し、
陽性になった新型コロナウイルスの5~10%を検査するように呼びかけていますが、
神戸市は、全体の6割。兵庫県は5割に変異ウイルスの検査を行っています。
【神戸市内の変異ウイルス確認状況】
こちらは、神戸市内の感染者のうち変異ウイルスだった人の割合を示したものです。
国内の変異ウイルスの主流となっているイギリス型は、徐々にその割合が上昇。
2月26日から3月4日までの1週間では4割を占めています。
イギリス型の割合が高まっていることが分かります。
【都道府県別と神戸市】
続いて、3月9日時点の厚生労働省がまとめたデータです。
兵庫県内でこれまでに38人が変異ウイルスに感染していることが分かっています。
神戸市は独自に調べたデータもあり、神戸市の発表の方が早いため、
タイムラグでまだ厚生労働省のデータには反映されていません。
姫路でも新たに見つかりましたので、兵庫全体では70人を超えると見られています。
なぜ兵庫県で変異ウイルスが多く見つかっているのか?
その背景の1つに、神戸市や兵庫県が積極的な検査が挙げられます。
神戸市は、全国でも先駆けてゲノム解析と呼ばれる遺伝子情報の解析を行っていますが、
兵庫県も4月から独自に変異ウイルスのゲノム解析を行う予定であることが分かりました。
【3月11日神戸市の久元喜造市長会見】
「国の通知では感染者に対して5パーセントから10パーセントの割合で変異株の検査をするようにと言われていますが、神戸市は約60%の検査を行っています」
神戸市では新たに38人が
変異ウイルスに感染していたことが分かり、このうち33人がイギリス型でした。
【久元市長】
「発見された33件のうち29件がすでに変異株に感染をされた方の濃厚接触者ですから、変異株の周囲におられる方ですよね。市中に変異株が広く存在しているというところまでは言えないんではないか」
これは、3月9日厚生労働省が公表した2月22日から28日までの都道府県別の変異ウイルスの検査データです。
兵庫県は全体の33%を検査していて、比較的高い数値を示しています。
県の感染症等対策室長の山下輝夫医師は現在は、兵庫県でも全体の5割を検査していて、変異ウイルス陽性者の追跡ができていると話します。
【兵庫県感染症等対策室長 山下輝夫医師インタビュー】
「ウイルスの量が少ないとゲノム解析できないんですね。ある程度ウイルスの排出量が多い方になりますので、兵庫県、神戸市の状況では今の数の陽性者だったらウイルスの多い方は全部検査できる状況だと思います。すなわち神戸市の6割、うちの健康科学研究所でも5割ちょっとやっているんですけども、逆に言えば陽性者の中でその後の検査ができるくらいウイルス量が多い方の比率がそれくらいだということになります」
変異ウイルスの検査を行う県の施設が、加古川市にある兵庫県立健康科学研究所です。
今回、特別に変異ウイルスの検査の様子を撮影させていただきました。
【兵庫県立健康科学研究所 感染症部 押部智宏課長】
「こちらの部屋がBSL(バイオセーフティーレベル)3実験室ということで病原体が漏れ出ないような部屋になっております」
中では感染の危険性があるため、取材班は窓の外から撮影。
この場所では、県内の陽性患者のウイルスを不活化と言って無毒化する作業を行い、安全に検査できるようにしています。
【兵庫県立健康科学研究所 感染症部 押部智宏課長】
「こちらがRNAの抽出装置になります」
無毒化されたウイルスの中から遺伝子の配列を調べるためRNAを取り出します。
こちらはリアルタイムPCRと言ってイギリス型やブラジル型など、N501Yという変異があるかどうかを調べることができます。
しかし、どれがイギリス型かなど変異ウイルスの種類の特定までできず、兵庫県内のウイルス検体は、国立感染症研究所に引き継がれて検査が行われています。
【兵庫県立健康科学研究所 感染症部 押部智宏課長】
「こちらの方が次世代シーケンサー。すべてのウイルスゲノムを解読する装置になりますので、それで変異株かどうかを最終的に判定するものになります」
神戸市は全国でも先駆けてゲノム解析を実施。
本来は国立感染症研究所が行っている遺伝子の3万種の暗号の解析を神戸市環境保健研究所で独自に行っていますが、兵庫県も来月に開始できるよう準備を進めていることが分かりました。
【兵庫県感染症等対策室長 山下輝夫医師インタビュー】
「近々兵庫県でも国とは連携しますけども、基本主体となって兵庫県で全遺伝子の配列までを見たということができてくるかと思います。来月4月にはやりたいなというのを研究所と一緒になって考えているところです」
現在、兵庫県で確認されている変異ウイルスはイギリス型です。
【兵庫県感染症等対策室長 山下輝夫医師インタビュー】
「多くのイギリス型、いわゆる日本で流行している変異株に関してはワクチンがしっかり効いてくれるというデータの方が多いですね。ただ、南アフリカ型とブラジル型と呼ばれる他の2種類は、イギリス型とは別の部分の変異が少し起こっていることもあって、ウイルスの抗体を少し回避する、すなわちワクチンが効きにくくなる可能性はあるんじゃないかと言われています。もともとコロナウイルスのワクチンの効果は非常に高いですよね。9割以上。普通のインフルエンザだったら3割から6割くらいの季節性インフルエンザの効果だとすると、非常に高い効果を持っていますので、今のままのウイルスであれば十分にワクチンの効果は期待できるものだと思っています」
山下室長は、変異ウイルスの対策として、検疫による水際対策の強化。
兵庫県としては、しっかりと調べて連鎖を断ち切ることが重要だと話しています。
一方で、私たちができる対策は、手洗いやマスク、3密を避けるといった基本は変わらないということです。
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