ニコニコ動画より転載

スターリンによる独裁体制が敷かれたソヴィエト社会主義共和国連邦において、ショスタコーヴィチは斬新な作品群を体制への反逆とみなされ、不遇の身となった。その汚名を返上せんと、社会主義への賛歌の形をとって発表されたのが、交響曲第5番である。第4楽章において、社会主義の成功を祝福する行進曲、そしてファンファーレが鳴り響くのである。しかしそれが彼が本当に表現したいものであったかは、全く明らかではない。彼が真に描きたかったものとは、自らを抑圧した社会主義への反発と、未来の同胞への鎮魂歌ではなかっただろうか。今回お聞きいただく演奏は、現代の歴史家の視点に立ち、社会主義の発生からその終焉までを描き切った佳作であるといえよう。▼忙しい人のためのクラシックシリーズ