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米大統領選“バイデン大統領”日本にとってプラス?(2020年10月30日)

アメリカ大統領選挙まで、1週間を切りました。現職のトランプ大統領をリードしているのが、バイデン候補です。トランプ大統領とバイデン前副大統領の政策について、対立が鮮明なのは3つのテーマ。
【経済政策】
トランプ大統領は、法人税を大幅に引き下げる“トランプ減税”で、企業の負担を軽くして、新たな投資や雇用につなげる経済活性化策を掲げています。新型コロナウイルスの感染対策よりも、経済をいち早く回復させることを重視しています。バイデン候補は「トランプ減税は企業や富裕層のためのもの」と批判し、企業や富裕層への増税が必要だと訴え、その増税分を社会保障に充てるとしています。コロナ後の経済活動の再開には慎重で、マスク着用の義務化など、感染防止策を優先する考えです。

【気候変動】
トランプ大統領は、地球温暖化に否定的で、対策の国際ルール“パリ協定”からの離脱を表明しました。環境規制を緩和するべきだとの立場です。バイデン候補は「地球温暖化は人類存続への脅威だ」として、大統領になったら“パリ協定”にただちに復帰すると明言しています。

【外交姿勢】
トランプ大統領は『アメリカ第一』をスローガンに自国の利益を最も重視しています。TPP=環太平洋経済連携協定や、国際条約や協定からの脱退を進めてきました。日本との関係では、日米安全保障条約が不公平だとして、日本にアメリカ軍駐留経費の負担増を求めています。バイデン候補は、オバマ政権と似た国際協調路線を取る考えで、日本など同盟国との関係を重視しています。トランプ大統領が離脱を表明したWHO=世界保健機関にもとどまる方針です。

両候補の主張の違いを見ていると、“バイデン大統領”になったほうが、日本にとってはやりやすいのではという印象ですが、実際はどうなのでしょうか。

◆ワシントン支局の高羽佑輔記者の報告です。
実際はそうでもありません。特に、中国については、環境問題や北朝鮮の問題で、中国側からの協力が必要だとの認識を示しています。ただ協力を引き出すために、中国に対する姿勢が、トランプ政権よりは弱まってしまうのではないかという懸念が専門家からはあります。日本には、尖閣諸島を抱えているので、領有権を主張する中国への圧力が弱まるようなことがなれば、大きなデメリットになる。また、駐留経費の負担についても、トランプ大統領ほどではないが、バイデン氏も増額を求めてくることが予想されます。バイデン氏は、TPPの再交渉をする姿勢は示しています。しかし、バイデン氏の経済政策の柱は“バイ・アメリカン”。雇用を守るため、アメリカ製品の購入を進めようというものです。これはトランプ大統領の政策と似ていて、TPPの早期復帰など、大きな進展はあまり期待できません。

不安要素としては、息子のハンター氏のウクライナでのビジネスの疑惑くらいでしたが、最近の環境問題に関する前のめりの姿勢が不安要素になっています。バイデン氏の環境政策では、アメリカでは、かなり野心的だとされていて、実現性を疑問視する声も聞かれます。討論会で「いずれ石油業界から移行する」と話し、エネルギー産業で働く人が多い激戦州、かつ生まれ故郷でもあるペンシルベニア州で反発を受けて、トランプ大統領から追い上げられる展開となっています。
[テレ朝news]