“What lessons have we learned from the Fukushima Nuclear Power Plant Accident of March 2011? ”
※同時通訳です。日本語は左チャンネル、英語は右チャンネル
English : Choose a right channel
政府、国会、民間の福島原発事故調査委員会元委員長および事故当時、NRC委員長だったヤツコ氏を招き討論会を開催した。(ゲスト名は50音順)
■北澤宏一 元民間事故調委員長 Koichi Kitazawa, former chairman of the Independent Investigation Committee of the Fukushima Nuclear Accident)
■黒川清 元国会事故調委員長 Kiyoshi Kurokawa, former chairman of the Japanese Diet’s Fukushima Nuclear Accident Independent Investigation Commission (NAIIC)
■畑村洋太郎 元政府事故調委員長 Yotaro Hatamura, former chairman of the Investigation Committee on the Fukushima Nuclear Accident
■グレゴリー・ヤツコ 前米国原子力規制委員会委員長 Gregory B. Jaczko, former chairman of the US Nuclear Regulatory Commission (NRC)

会見詳録(文字起こし全文 PDF)
http://www.jnpc.or.jp/files/2014/03/6baf1098a10b6625de52d3dd9e5fe885.pdf

司会 服部尚 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)
通訳 西村好美、渡辺奈緒子(サイマル・インターナショナル)
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2014/03/r00026952/

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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2014年4月号に掲載)

事故は継続中 4氏が再稼働の動きを批判

原発事故から3年。事故調の元委員長3人が語ったのは「事故を経験しても、この国は変わらないのか?」という懸念だった。

最も厳しい意見を述べたのは黒川氏。「あれだけの事故が起きても、ポリシーが変わらない。学界は? マスコミは? 政治は? 誰も責任を取らない。みんな評論家、ひとごとなんだよ」。統治機構の中身が洗いざらい世界にばれた。それでもまだ変わろうとしていないのかと。

事故による変化の1つは規制当局。新規制基準の適合審査が進む。政府は原発の再稼働に意欲的だ。やり取りの焦点は再稼働に移っていった。

北澤氏は「原発がすべてストップしたのは国民の総意。ゼロを保っているのは大変なこと。再稼働してもすぐに事故は起きないかもしれないが、起きたら世界の笑いものだ。守銭奴の国と言われる。それでいいのか」。

畑村氏は「事故の教訓は、どんなに考えても気がつかない領域が残るということ。規制基準にも考え落としはある。規制委は『原子力は危ない。考え落としもある』と言うべきだ。その上で、動かす動かさないの判断は国民だ」と話した。

事故は過去のものなのか。ヤツコ氏は「危機は去ったが、汚染水は海に流れ続けている。終わったと言えるのは、燃料が完全に取り除かれてクリーンになったら。避難者に補償がなされてから」と述べ、いまも事故が継続していることを指摘。

畑村氏も「避難、除染、帰還、震災関連死。生活が壊れている」と述べ、第一原発の外で起きていることにも注意を払うよう訴えた。確かに、原発事故の最大の被害者は彼らだ。

事故後の2012年春、関西電力大飯原発を動かすという時、取材で福島の仮設住宅を訪れた。第一原発で長年働き、「東電には世話になった」とまで口にしていた男性。稼働をどう思うか、そう聞くと顔をこわばらせた。絞り出した言葉は「…勝手にしろっ」。その後、押し黙り、時間ばかりが過ぎた。この福島の状況を知っているのか。そういう憤りだったと思う。避難生活を続けている男性は会見での議論を聞いて、何を感じるだろうか。

3人の元委員長は、ジャーナリズムへの期待も口にした。まだまだ明らかにすべきことはある、やるべきことはあるというエールだったと思う。

朝日新聞科学医療部兼福島総局
木村 俊介