都内のクリニックで行われていたのはインフルエンザのワクチン接種です。しかし今年は、ある異変が・・・
にじいろこどもクリニック 高畠 和章院長
「10月下旬くらいから入っている(ワクチン)はすべて予約が埋まっている状態で今はもう予約がまったくできない状況になっています」
ホームページに掲載されたのは、予約停止のお知らせ。
ワクチン接種を受けた人
「電話をかけた時にもう枠がいっぱいだと話を聞いたり例年に比べると取りづらいと思った」「1回目も取れない人はまわりでも多いですね」
インフルエンザの本格的な流行シーズンを前になぜ、いまワクチン不足なのでしょうか・・・厚生労働省によると、今年の供給量は昨シーズンに比べ16パーセントほど減少。その理由は、資材不足で製造が遅れたためとしています。今後は、来月中旬ごろまで順次出荷が続く見込みだといいますが・・・
にじいろこどもクリニック 高畠 和章院長
「確保がなかなか難しいので、少し患者さんに不便をかけている部分はあるかなと思う(コロナとインフルの)同時流行が懸念されていますけど、そうなると熱の方の対応だとか難しくなってくる部分があるのかなと思います」

果たして流行はあるのでしょうか?日本での指標となる南アジア地域についてWHOは、夏にインドやバングラデシュなどで流行を確認。最新のレポートでも インドなど黄色に塗られた地域でインフルエンザの陽性率が11から20%だったと発表しています。新型コロナの「デルタ株」が猛威を振るい、多くの死者が出たインド。インフルエンザの流行について、現地に暮らす人は・・・
インド在住4年 中村ゆりさん
「風邪よりもちょっと重たい症状っていうくらいの捉え方で日本ほど深刻に重く捉えられてない印象。理由を聞いたところ発症後に薬で治るからと答えられていた。」
インドでは、インフルエンザの予防接種に対して意識が低いと言います。
インド在住4年 中村ゆりさん
「ワクチン接種に対して日本ほど積極的ではない。北インドだとこれからの時期、11月以降がインフルエンザの時期とも言われているのでコロナであったり他のものに加えてインフルエンザの対策についてもしっかりやっていかないとなと感じています。」
経済活動の再開でウイルスが日本に持ち込まれる可能性も指摘されています。

そこで懸念されるのが新型コロナとインフルエンザの同時流行による“重複感染”です。長崎大学は“重複感染”が起こり得ることをハムスターで実証し、先月、論文に掲載しました。
長崎大学感染症共同研究拠点 木下貴明 研究員
「これまではウィルス干渉というものが起きて“重複感染”は起こらないというような見解もありましたが、今回我々の実験の結果、肺の別々の部位で同時に2つのウィルスが感染するということが明らかになりました」
肺のCT画像を見ると、単独のウイルス感染に比べ、“重複感染”の場合、4日目から8日目になると白い部分が拡大。肺炎が広範囲に及んだ事がわかります。
長崎大学感染症共同研究拠点 木下貴明 研究員
「同時に(重複)感染した場合、肺炎が進行して重症化あるいは長期化することが確認されました。人でも単独の感染よりさらに重症化するということが考えられます。」
去年12月、実際に“重複感染”を経験した人がいます。
“重複感染”の経験者
「先生もびっくりされていて両方とも罹っていましたという報告を受けて、本当にその時私もびっくりしたんですけど全然症状がなくて、ただ熱が出るとちょっとだるいということだと思うんですけど、そんなような感じでした。」
重症化しなかった理由をこう振り返ります・・・
“重複感染”の経験者
「インフルエンザの予防接種を去年は、たまたま10月に(早めに)打っていたのが良かったのかなと思っているところです。多くの方がインフルエンザの注射を打って重症にならないように役立てもらえればいいかなと思います。」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp