人との間隔は、最低1m空けるー。これまで私たちが実践してきたソーシャルディスタンスを、さらに強く意識する必要がある研究結果が、23日発表されました。

 理化学研究所が公表したシミュレーション映像。スーパーコンピュータ「富岳」の解析により、インド型変異ウイルス(デルタ株)の感染リスクが明らかになりました。

 インド型の感染力が、従来型に比べ2.25倍強いと想定すると、大声で話した場合、従来型の感染者と1m距離を取った時と同じリスクに抑えるためには、インド型では1.9m離れる必要があるというのです。

 さらに、時間のリスクについても、従来型の感染者と1mの距離で60分会話した場合の感染リスクと同じ水準になるのが、インド型では27分。対面して会話する時間も、インド型では半分にする必要があるとしています。

今までやっていることを再度確認、続けることが大事

「今までより少し注意しないと、今まで感染していなくてもかかってしまうことがある」(豊橋技術科学大学・飯田明由教授)

 シミュレーション映像の分析を担当した、豊橋技術科学大学の飯田明由教授です。

Q.今回の研究ではどのようなことがわかったのか。
「ウイルスが変異して、より感染力が強くなっている」「時間が長くなればそれだけ吸い込んでしまう飛沫やウイルスの数が増える。距離が近くなれば相手から到達する飛沫の数が増える」(豊橋技術科学大学・飯田明由教授)

 厚生労働省のアドバイザリーボードでは、7月中旬には全国の感染者の半数がインド型に置き換わる可能性があるとの指摘があります。飯田教授は、これまでの「1m空ける」という対策のままでは感染リスクが高まると話します。

Q.今回の結果を受け止めて、私たちはどう生かせばいいのか。
「変異株が出てきて怖いところもあるが、基本的には距離を取ってマスクをして会話をできるだけ少なくして部屋の換気をよくする。今までやっていることを再度確認してしっかり続けることが大事」(豊橋技術科学大学・飯田明由教授)

「座席位置のリスク」に注意が必要

 富岳によるシミュレーションで分かったことは、『距離のリスク』や『時間のリスク』の他にも、『座席位置のリスク』に注意が必要とのこと。(※感染者が1時間の内に各方向へ均等に話している場合を想定)

 インド型の感染者との飲食の場では、横に座った人の感染リスクを100%とした場合、正面の人は、約23%のリスクがあり、斜めに座る人は、約12%と、8分の1までリスクを減らせると分析。

 ただ、飯田教授によると、距離が同じだとリスクは一緒だということです。

 豊橋技術科学大学の飯田明由教授は、「アクリル板を前に置いて斜めに座ることが良い4人の場合は会話の時間を短くすること」と述べています。