安倍首相は5月14日、特定警戒都道府県のうち茨城・岐阜・愛知・石川・福岡の5つの県と、それ以外の34県の緊急事態宣言解除を正式表明した。
そのほかの自治体は31日が期限のままだが、政府高官は「5月21日をメドに東京や大阪を含む全ての地域で解除できるかもしれない」との見通しを期待しているという。
東京の感染者数は4,997人で、死者は203人(5月13日時点)。
4月17日の204人をピークに減り続け、5月13日は10人だったが、感染経路が不明の割合が依然として高いままとなっている。
陽性率は、4月11日に31.7%だったが、5月12日には5%と減少している。
加藤綾子キャスター「柳澤さん、政府高官から『5月21日をメドに東京も宣言解除なのでは』という声が聞かれていますが、いかがですか?」
ジャーナリスト・柳澤秀夫氏「大丈夫なのかな、というのが率直な印象ですが、いずれにしてもこれでいったん減ってきて、完全に終息ではないはずなんですよ。次の波は必ず来るということを考えると、客観的に感染の状況がどうなっているのか、信頼できるデータは示してもらって。それに基づいて判断したんだということを明確に説明してもらえるように、宣言の解除や、あらためてまた発令するときにしっかり作ってほしいなと思います」
加藤キャスター「データを元にというのは、信頼感につながりますね。その緊急事態宣言解除の基準について、専門家会議は3つの目安を提案しています」
福原直英キャスター「1つ目は、新たに確認される感染者の数です。1週間で人口10万人あたり0.5人未満程度であり、直近1週間の新規感染者数の合計がその前の1週間の数を下回っていること。2つ目は医療提供体制です。重症者が減少傾向にあり、医療体制が逼迫(ひっぱく)していないこと。3つ目は検査体制の構築。PCR検査のシステムが確立されていて、検査件数が極端に少なくなっていないこと。これらを総合的に判断するということですが、『直近1週間の10万人あたりの感染者数が0.5人未満程度』とはどういうことになるか? 東京都の場合、人口はおよそ1,400万人ですから、1週間で70人ということになります。1日で計算すると10人未満となります。東京都で13日に新たに確認された感染者は10人でしたが、その直近1週間(5月7日~13日)で合計すると173人ということですから、70人という目安と比べると、かなり多いということになります」
加藤キャスター「14日の東京の感染者数は30人ですが、この『直近1週間の10万人あたりの感染者数が0.5人未満程度』について、二木先生はどうご覧になりますか?」
昭和大学医学部・二木芳人客員教授「これは東京にとっては大変厳しい数字ではあります。でも13日は10人という数字を達成したわけです。これはちょうど2週間ぐらい前から皆さんが頑張ってくださったおかげです。今ちょっと緩んでおられるので、これから10日ほど先がちょっと心配ではあるのですが、頑張ればこういう数字も達成可能だと思っていただいて。ここで引き締めていただくことが重要かなと思います」
加藤キャスター「先ほどありました専門家会議の3つの目安の中では、特にどこに注目されますか?」
二木客員教授「この数も大事だとは思うのですけれども、やはり医療提供体制ですね。今、重症者の方が減っています。ですから在宅医療といいますか、自宅におられる方々もきちんと収容して正しい医療を提供するということが、市中感染や家族の感染を減らすうえでは非常に重要じゃないかと思います」
加藤キャスター「風間さんはどうご覧になりますか?」
フジテレビ・風間晋解説委員「うがった見方で申し訳ないのですが、今回の解除と継続を分けるのに一番使える数字として登場してきたのだと思うんです。実は、5月4日の専門家会議の提言に『人口10万人台発生する』という図が、何の説明もなく掲載されている。しかしそれだと、2.5人未満という県がほんの少しあるだけなんです。ところがこれを『直近の1週間』に直したら、使える数字になったのだと思うんです。政府としては、この10日間、解除するにあたって使える数字が何かないかと注視してきたのではないかと。これはあくまでもうがった見方ですからね」
柳澤氏「これに対しては、わたしもそう思うんです。なぜこの『10万人あたり0.5人』という基準が出てきたのかと。東京の場合、1日あたり10人として逆算していくと、10万人あたり0.5人未満という数字が出てくる。以前から『東京の場合、だいたい1日10人以下であれば1つの波を越えたのではないか』ということを言う専門家の方がかなりいらっしゃったので、そこから出てきたのではという気がするんです。勘繰りですが…」
風間解説委員「この数字も含めて総合的に判断していくと言っているわけですから、絶対の数字ではないです」
こうした中、東京都民はいつまで緊急事態宣言を継続するべきだと考えているのか。
宣言解除の時期について、街の人に聞いてみた。
70代女性「最低5月いっぱい…」
携帯関係(30代女性)「今月いっぱいには。わたしも仕事しているので、子どもを保育園に預けなきゃいけないとかがあって」
パート(50代女性)「5月31日って決めたら、そこまではやってほしいと思います。急に解除されるとあたふたしちゃって」
専業主婦(40代女性)「2~3カ月以内に。やっぱり外での方が楽しいっていうのもあるし、家だとちょっと孤独になっちゃうのかなっていうのもある」
学生(20代男性)「1年くらいは。自分はその覚悟できてたんで、1年くらいは続けてもいいんじゃないかなと思います。すぐ解除してしまうと、第2波、第3波がすごく怖いので」
給食製造業(50代男性)「やっぱり経済のことをどうしても考えてしまうので、なるべく早いほうがいいかなと思います。結局、それを解除することによって自分たちも仕事が戻ってくるので」
加藤キャスター「皆さん、それぞれの状況によって意見も変わってきますよね」
柳澤氏「特に商売をしている方は背に腹は代えられませんから、何とかという思いが強いと思います。例えば5月31日に解除となったとしても、次の波が来ることを考えると、長期的に考える必要があると思います。だから、ここで経済的な面も含めて長期戦の戦略を練ることが、ますます必要になってくる」
加藤キャスター「専門家会議は、解除基準として医療体制やPCR検査にも触れていますが、感染症の専門家の二木先生からすると、解除はいつごろが望ましいとお考えですか?」
二木客員教授「『直近1週間の10万人あたりの感染者数が0.5人未満程度』という数字はちょっと急には難しいかなというところもありますが、早いタイミングで医療提供体制をなんとかうまくコントロールしていくと、それが目安になって『0.5人未満程度』と…先ほども話がありましたが、総合判断ですから。いい方向かっているということであれば、収束なのでしょうけれども、ちょっと1週間では厳しいかなと」
柳澤氏「やはり、われわれが客観的に判断できるような監視体制、モニタリングの体制ができてないですよね」
加藤キャスター「東京都においては、小池知事が独自のロードマップを作るとしていますが、今のところ、それ以上のことには触れていません。風間さん、例えば『東京モデル』というものを小池知事は発表されると思いますか?」
風間解説委員「東京モデルというと、大阪モデルの二番煎じのように思われかねないじゃないですか。僕はそもそも、首都は特別だと思っています。感染の抑え込みについても経済についても、首都で失敗したら全国に響きます。そういう意味で、東京都知事は、ほかの市町村と比べて一番慎重であるべきだと思います。もう1つ、諸外国でどんどん制約・規制を解除しつつあります。緩みが見え始めている諸外国の首都の状況を見て判断したい、という気持ちもあるのではないかなと」
加藤キャスター「ある意味では、日本の東京の未来ということにもなるわけですからね」
柳澤氏「海外で起きていることは人ごとではなく、自分たちに跳ね返ってくる教訓だと受け止めるべきですよね」
加藤キャスター「ただ、先ほど紹介したように1日も早い解除を望む声もありますね。経済と感染拡大防止っていうそのバランスって本当に難しいですね」
柳澤氏「それを考えるためにも、何度も言いますが、長期戦でどのような戦略を練るのかが重要だと思います。諮問委員会の中にも経済の専門家の方が入られましたよね。ああいう形で、将来的にどう対応していくかを考えることが、ますます必要になってくると思います」
加藤キャスター「陽性率、実効再生産数なども含めてということですよね。こういったデータが、解除だけではなく第2波などを察知するうえでも必要になってきますね」
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(2020/05/15)
#新型コロナウイルス #緊急事態宣言解除