混乱が続く香港で24日、香港区議会議員選挙の投票が行われ、結果は、民主派が圧勝。選挙の結果で、香港はどう変わっていくのか、「香港区議会」をひもとく。
今回の選挙で、議席の8割以上を民主派が獲得して、改選前に7割を占めていた親中派は、惨敗している。
これで一気に香港の民主化が進んで、デモ活動が落ち着くかというと、そう簡単な話ではない。
歴史を振り返ると、香港は1997年、イギリスから中国へ主権が返還された。
その際、中国政府は、「一国二制度」を50年保障することを約束している。
この一国二制度、つまり、「社会主義政策を香港では実施しません」、そして、中国でありながら、香港は「資本主義を50年維持します」ということを約束した。
また、返還当時に発表された「英中共同声明」では、ほかにも「外交・国防以外は高度な自治権を香港に認める」、「行政権・立法権・独立した司法権を付与する」ことも確認している。
しかし実際には、香港の高度な自治権を認めることは、ほごにされている。
今回行われた香港区議会選挙は、仕組みとしては、1人1票の直接選挙で選ぶもの。
このこと自体は、民主的なプロセスと言えるし、香港区議会は、民意が反映される場と言える。
ただ、この区議会の機能を見ていくと、そう簡単ではないことがわかってくる。
この区議会の機能としては、福祉・公共サービスなど政府に助言する。
また、環境の改善や文化活動について、資金調達が可能なら引き受けるということ。
あくまでも、位置づけとしては、政府に助言する諮問機関のような存在。
そのため、この区議会には、立法権も予算決定権もない。
これで高度な自治が守られているのか、疑問視する声も、実際には多い。
(日本でいう議会みたいなものは、香港にはないのか?)
立法会というのが、いわゆる議会にあたる。
そしてニュースにもよく出てくる、この香港の行政のトップにあたるのが行政長官、今は、林鄭月娥行政長官が務めている。
立法会も、この行政長官を選ぶのも、実際には選挙がある。
ただ、仕組みとしては、親中派に有利と言われている。
今回の選挙の結果を受けて、実際にどんな受け止め方なのか。
林鄭長官は26日、定例記者会見を行った。
その中で、抗議活動で市民が掲げている5大要求。
例えば、林鄭長官の辞任と普通選挙の実現といったものも、あらためて拒否する方針を表明した。
また、訪日中の王毅外相も、「情勢がどう変化しようとも、香港は中国領土の一部だ」と語って、強硬姿勢を崩していない。
(中国の対応がどうなるのか、世界的にも注目が集まっている)
フジテレビ・風間晋解説委員 「なんで、負けるとわかってて選挙やったのかですよね。1つは、きょうのアリババ集団の上場。これは成功させて国際金融センター、香港は大丈夫だと示したかった。もう1つは、一国二制度は大丈夫、ちゃんと尊重してますということを選挙を通じて示して、住民のガス抜きをしたかったというのがあるんでしょうね」とはいえ、この明確な意思表示が、どう形として実を結ぶのか注目される。
(2019/11/26)
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