モスクワ国際映画祭で29日、事件の加害者と被害者の男女のその後を描いた大森立嗣(たつし)監督の映画「さよなら渓谷」が、コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した。同映画祭はカンヌなど三大映画祭に次ぐ権威があるとされる。特別賞は作品に与えられる賞としてはグランプリに次ぐ賞。全16作品がノミネートされていた。 「さよなら渓谷」は、真木よう子さんと大西信満(しま)さんが主演した。ある残酷な事件の被害者の女性と加害者の男性が夫婦として暮らし、過去と向き合う2人の心の葛藤を描いた。原作は「悪人」などで知られる吉田修一氏の同名小説。 受賞後、取材に応じた大森監督は「僕の作品はいつも賛否が激しいけど、こうやって賞をもらって、自分がやってきたことが正しかったんだなと思った」と語った。真木さんは「題材はとても難しかったと思うが、認められてうれしい」。大西さんも「セリフで伝える作品ではないところが、逆に外国人に伝わりやすかったのかもしれない」と話した。
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