5日に東京都が確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は1278人で、過去2番目に多い人数となりました。また、重症者は111人と、過去最多を更新しました。年末年始は、検査機関が少ないため、検査数は減っています。元日の検査数は3306件でしたが、新規感染者の数が高止まりしていることに、現場からは大きな懸念の声が上がっています。
北区保健所・前田秀雄所長:「北区では、12月中は2割程度の人が陽性になっていたが、年末年始の休みの間に受診した人だと5割近くが陽性になっている。陽性率が高いということは、リスクが高い人が増えていることの表れだと思う」
首都圏では、東京に隣接する3県でも、新規感染者が過去最多を更新。神奈川では初めて600人を超えました。
感染拡大に歯止めがかからない状態が続くなか、菅総理は、自民党役員会で東京都と千葉、埼玉、神奈川の3県を対象とした緊急事態宣言を7日に発令する方針を表明しました。1都3県は、酒類を提供する飲食店などに、8日から午後8時までの時短営業を要請。12日からは、すべての飲食店に拡大します。時短営業の要請に応じれば、1店舗に付き、1日5万円の協力金が支給される方向です。社員とアルバイトを含め17人の従業員を抱える都内のビアレストランでは、現在、人件費などの固定費だけで、月に1000万円かかっているといいます。
ビアレストランの社長:「ちゃんとした政策を出してもらえれば、しっかりと要請には従えるが、1日5万円で大丈夫なところもあれば、5万円では全く意味のない店もある。大きい店は、ほとんど潰れてしまうんじゃないかな」
しかし、飲食店関係でも協力金の対象とならない業者がいます。東京の台所・豊洲市場では5日、コロナ禍で初めての“初競り”が行われました。今年の一番マグロについた値は2084万円。去年の1億9200万円を大きく下回りました。毎年、一番マグロを争ってきたライバルの不在が、安値の理由でした。新年の“初市”は、買い出しの飲食店関係者で賑わいますが、今年は圧倒的に少なかったといいます。
仲卸大手『山治』・山崎康弘社長:「緊急事態宣言があるので、怖がりながら考えながら買っている。僕らは、売れるか、売れないかわからなくたって、仕入れて置いておかないといけない。すごい悩ましい。飲食店に付随して取引をしている周りにいる人たちが、どれだけいるかをわかったうえで、やっていただきたい。『なんで我々の補償がないのかね』『議論の俎上(そじょう)にどうやったら上げていただけるのか』という話を競り場でもしている。飲食店も苦しい、我々も苦しいのも国にわかっていただきたいというのが本音」
このままの状況が続くと、店を閉める仲卸も出てくる可能性があるといいます。
これから迎えるのは受験シーズン。萩生田文部科学大臣は、緊急事態宣言が出されても、小・中学校や高校に一斉休校を要請しないと表明しました。また、小中高の入試や、16日から始まる大学入学共通テストについて、予定通り行うことも表明しました。高校受験を目前にした都内の学習塾は、緊急事態宣言が出たら、すべてオンライン授業に切り替えるといいます。生徒も塾側も、受験当日まで気が抜けない毎日です。
植田塾・植田一幸代表:「実際、試験会場に行ったときに、十分なコロナウイルス対策ができているのか。そうでなかった場合、生徒たちが入試に集中できない事態も考えられる。生徒たちが動揺せずに実力を発揮できるような環境を与えてほしい」
1都3県以外では、長野や岐阜など7つの県で、新規感染者が過去最多となり、全国の新規感染者、重症者、そして死者も過去最多を更新しました。
順天堂大学大学院・堀賢教授:「今回の増加は、クリスマス直前の人々の行動の結果が反映されていると考えたほうが良い。これから、さらに患者が増えて、東京は1日2000人を超える日も出てくるかもしれない。緊急事態宣言が出て、大都市周辺への染み出しが収まってくれば、1月下旬くらいには収まっている可能性が高いが、それまでの間に医療機関が持つかどうか非常に厳しい状況。今や多くの人に広がり過ぎているので、飲食だけを止めたとしても、広がってしまった感染症に対しては、より家庭内とか職場でうつりやすくなっている。
[テレ朝news]