新型コロナの感染急拡大で、発熱外来などの医療機関を受診しにくくなっていることが問題になっています。その中で、発病から診断まで約1日しかかかっていないのが東京・墨田区です。

 墨田区の1日当たりの新型コロナ新規感染者数は、第6波の時の約2倍である1000人ほどです。決して他の区よりも少ないというわけではありません。しかし、オンライン診療を早期導入することによって早期の診断につなげています。墨田区内には発熱外来が85カ所ありますが、そのうち31の医療機関でオンライン診療を行っています。墨田区がオンライン診療に力を入れている理由には、都心部ならではの事情が影響しています。都心部のクリニックではコロナ疑いの患者と一般の患者を分けるスペースがなかなか確保できず、診察枠を増やすのが難しいという課題があります。そこで墨田区は、感染状況が落ち着いていた2021年12月からオンライン診療の積極的な導入を医師会などに働きかけていました。

 オンライン診療には医師の協力が不可欠ですが、どのように連携を取ったのか墨田区保健所の西塚所長に聞きました。西塚所長によると、新型コロナの流行前から、区と医師会が災害医療の観点で連携を取っていたのがコロナ禍で大きな力になっているということです。また、墨田区保健所は業務の多くをデジタル化することで健康観察などの電話業務を約9割縮小することができたそうです。第6波の時には区役所内の別部署から140人の応援が来ていましたが、現在は応援の職員はいないということです。さらに、墨田区では2019年から議会を通年化したことで、コロナによる変化にも対応できる補正予算を、すぐに組むことができているのも大きいと西塚所長は分析しています。