25年ぶりにめぐり逢った父と娘のたった5日間の物語
愛する妻と娘との日々を思い返しながら、六郎は電車に乗り、小さな田舎町に降り立つ。夕立が来そうな雲行きのなか、さまよい歩き、恋園神社にたどり着く。神社の一角にあるお茶屋「恋園庵」の女将・玉枝は、六郎の思い詰めたような姿が気になり跡を追い、悲しそうにたたずむ彼にそっと傘を差し出した。そんな六郎の姿を少し離れたところからずっと見つめる視線があった。
それから25年後。六郎(立川談春)は、あの夏の日の出会いをきっかけに、玉枝(原田知世)と彼女の一人娘の麻衣子(入山杏奈)と生活をともにしていたが、麻衣子との関係は上手くいかず悩んでいた。そして年に一度の夏祭りの日が近づいていたある日、運命が動き出した。
父・虎蔵(永井大)の跡を継いでテキ屋になった清太郎(市原隼人)は、仲間の日出子(高橋メアリージュン)と力也(やべきょうすけ)を引き連れて、今年もまた恋園神社を訪れる。同じ頃、さつき(倉科カナ)もその田舎町にやって来た。彼女の旅の目的は、25年前に姿を消した父の六郎を探すためだった。死んだと聞かされていた父親が生きていることを知り、どうして会いに来ないのか、一体どんな暮らしをしているのかを確かめに来たのだ。
宿に向かう途中、偶然にも六郎を知る清太郎と出会ったさつきは、夏祭りの取材をしたいと嘘をついて彼に町を案内してもらうことにする。しかし、人の良い清太郎を利用して父親を探そうとしているのが心苦しくなり、町にやってきた本当の理由を告げる。
昔から知っている六郎や玉枝を傷つけたくないけれど、さつきの願いも叶えてあげたい─清太郎は、六郎が経営する東雲学習塾、玉枝が営む恋園庵、麻衣子が働く恋園神社を案内する。六郎に新しい家族がいる、その事実にさつきはショックを受け、それまで押さえてきた怒りと悲しみの感情を清太郎たちにぶつけてしまうのだった。そんななか、さつきのことを探している車海老(トミーズ雅)という謎の男も町へやって来て、夏祭りを目前に田舎町は次第に慌ただしくなっていく。
さつきと六郎はどんな再会を果たすのか、さつきと清太郎の出会いは運命だったのか。それぞれの想いが、愛する人に届けられようとしていた。

劇場公開日 2018年10月26日
製作国 日本
上映時間 116分
映倫区分 G
監督脚本 宅間孝行
キャスト
倉科カナ 高島さつき
市原隼人 雨宮清太郎
入山杏奈 松岡麻衣子
高橋メアリージュン 福田日出子
やべきょうすけ 竹内力也