みんなの党元代表「政策実現の前に…」政局のカギ握る“第三極”国民民主党の行方は【報道ステーション】(2024年10月30日)

自公政権の維持か、野党による政権交代か、与野党各党の思惑が渦巻く中でカギを握るのが、自民でも立憲でもない“第三極”国民民主党です。かつて、第三極として旋風を巻き起こしながら党の分裂に至った『みんなの党』元代表・渡辺喜美さんに成功と失敗を分けるものは何か聞きました。

■野田氏が要請「総理指名で私を」

立憲民主党の野田代表は30日、午前中には日本維新の会の馬場代表と、午後には共産党の田村委員長と相次いで会談を行いました。

立憲民主党 野田佳彦代表
「民意は自公政権に対してノーという国民の意思表示でございましたので、政権を変える大きなチャンスでもある。ぜひご協力をお願いしたいと。首班(総理)指名選挙では、私『野田』とぜひお願いをしますと」

野田代表のアプローチに、各党は…。

共産党 田村智子委員長
「決選投票では対応については前向きに検討をしたい」

前向きな返事の一方で、つれない答えも…。

日本維新の会 馬場伸幸代表
「大きな大義、また具体的な改革案がなければ、我々はくみすることはないと」

日本維新の会 藤田文武幹事長
「(Q.現状では馬場さんの名前を書くと)そうですね」

この数日、行く先々で記者に囲まれている玉木代表も…。

国民民主党 玉木雄一郎代表
「勝つ見込みのない野田さんに入れるわけにはいきませんから。1回目も2回目も『玉木雄一郎』と書くのが、一番、我々に託してくれた民意にかなうものだということで、今日その方針を確認しました」

11月11日にも行われる見通しの総理指名選挙。1回目の投票では誰も過半数を獲得できず、決選投票になる見通しです。決選投票では、石破氏と野田氏の得票が多かった方が総理に選ばれますが、維新と国民がそれぞれ自分の党の党首に投票すれば無効票に。石破総理が選ばれる公算が大きくなりつつあります。

■維新幹部「馬場代表は辞任を」

早くも難航気味の野党連携。維新には、それどころではないという事情もあります。党の重鎮・浅田参院会長が役員会で突きつけたのは、馬場代表の辞任です。

日本維新の会 浅田均参院会長
「今回の大惨敗の責任を取って、代表と選対本部長ぐらいは辞意を表すべきだ」

維新は衆院選で比例票を300万票減らし、マイナス5議席という結果に。他の幹部からも…。

日本維新の会 猪瀬直樹参院幹事長
「責任を取って馬場代表は辞任すべきだろうと伝えました。(Q.馬場代表からどのような返答が)『国会日程があるから今、辞任できない』」

お膝元の大阪でも“馬場降ろし”の風が吹き荒れ、府議によると、水面下では吉村知事を次の代表に担ぐ動きもあるといいます。

■「政策実現を優先しすぎた…」

揺らぐ維新と、存在感を増す国民民主党。二大政党ではない“第三極”の進むべき道とは。同じく“小さな野党”ながら、かつて存在感を放った『みんなの党』を立ち上げた、渡辺喜美さんに聞きました。

みんなの党は、徹底した行革と脱官僚を掲げ、初挑戦の参院選で10議席を獲得。政権与党が過半数割れするなか、連立入りを拒否します。政策課題『アジェンダ』を掲げ、是々非々のスタンスを強調。安倍政権に対しては、特定秘密保護法の修正を要求するなど、一定の政策実現にこぎ着けました。

みんなの党元代表 渡辺喜美さん
「とにかく『や・ゆ・よ』なんですよ。野党からゆ党になり与党になっていく。その過程で、応援してくれた有権者・国民を裏切らないように。表のキャスティングボートを握っているわけですから、これは包み隠すことなく堂々と交渉をやったらいい」

しかし、政策の実現には、政権に取り込まれ、埋没するというリスクも伴います。

みんなの党も、政権に接近するか、野党共闘を優先するか、党内対立を招き、解党の末路をたどりました。

みんなの党元代表 渡辺喜美さん
「(Q.政権与党に近付き過ぎたか)近づき過ぎたというか、政策の実現を優先し過ぎた。だから政策の実現というのはとても大事なことなんですが、党内の大半の人が選挙区では自民党・公明党と戦っていることを、常に念頭においてやっていく。私の失敗の教訓から申し上げたい」

注目される玉木代表。野田代表は30日も秋波を送ります。

立憲民主党 野田佳彦代表
「早くお会いしたいですよね。お会いしないと突っ込んだ話もできない」

■見えぬ“野党結集”…政権交代は?

政治部野党キャップの村上祐子記者に話を聞きます。

(Q.野党が一枚岩になるのは、なかなか難しそうな情勢です。それでも立憲民主党は政権交代を目指していますか)

村上祐子記者
「立憲の野田さんはかねて、今回の選挙での政権交代を主張してきたので、議席を大幅に伸ばした今こそ最大のチャンスではあるのですが、今は厳しい状況です。元幹部は『本気で政権を取りたいなら、維新や国民の要求を丸のみするぐらいの覚悟を示さないといけないが、できていない』と、党内から本気度を疑う声も出ています。取材するなかでも、維新や国民が求める政策に応じる動きはなく、むしろ“政治とカネ”の問題の他には“選択的夫婦別姓”や“教育の無償化”など、各党で一致できる政策での呼び掛けに留まっています」

(Q.選挙ではあれだけ政権交代を訴えてきて、本気度が見えてこないのはなぜでしょうか)

村上祐子記者
「立憲サイドの本音としては、政権交代に向けての準備不足というのがありそうです。実際、党内からは、高揚感よりも『まだ準備ができていない』『今政権を取ってしまうと安定しない』といった声が聞かれます。仮に今、政権を取ったとしても、参議院では自公が圧倒的に数の優位にあるので、いわゆる“ねじれ国会”となり、政権運営が進まなくなる可能性があります。現実の目標として、勝負をかけるのは来年の参院選にというのが本音だと思います」
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