新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京オリンピックの開催に疑問の声が上がっています。

 札幌市でもマラソンや競歩が予定されていますが、開催することはできるのか。ボランティアの苦悩を追いました。

 5月5日に行われた、東京オリンピックマラソンのテスト大会。69人の選手が出場し、約770人のボランティアが大会を支えました。感染拡大防止のため、観戦の自粛も呼びかけられました。

 運営スタッフ:「ここでの観戦は自粛をお願いしています」 

 この大会について、札幌市に寄せられた意見は約400件。

 そのほとんどが、コロナ禍で開催されたことに対する批判的な意見でした。

 東京オリンピックのボランティア 松川 七南花さん:「本当はボランティアをやりたかったのですけれど、辞退しようと考えています」

 5月12日から緊急事態宣言の対象地域が6都府県に拡大。感染拡大が止まらない中、ボランティアを辞退する人も。

 果たしてオリンピックは開催できるのでしょうか?

 感染拡大が止まらない中、マラソンや競歩の会場となる札幌市民の反応は複雑です。

 札幌市民:「延期した方がいいのでは」    

 札幌市民:「やるしかない。開催してもらいたい」   

 札幌市民:「アスリートには気の毒だが、この状況で開催するのは考えられない」

 5月5日に行われたマラソンのテスト大会では、感染対策として、紙コップの代わりにペットボトルが使われました。ボトルは手袋をはめて回収しました。

 このようにして競技を支えたのが、ボランティアの存在です。本番のオリンピックのボランティアに不安が広がっています。

 東京オリンピックのボランティア 松川 七南花さん:「本当はボランティアをやりたかったですけど、今の社会の状況を踏まえたら、やるべきではないと考え、辞退しようと考えています」

 札幌市の大学生、松川 七南花さんは高校3年の時に「フィールドキャスト」と呼ばれる競技運営に関わるボランティアに応募し、選ばれました。

 しかし、友人と話し合い、参加を見送ることにしました。

 東京オリンピックのボランティア 松川 七南花さん:「コロナ禍で医療が大変な中で、ボランティアに気軽に参加できないなという話をしていて、私もその通りだなと思っていました」

 万が一、オリンピックで感染が拡大したら、医療現場に大きな負担をかけるという懸念と、自らも感染するかもしれないという不安から、ボランティアの辞退を決めたといいます。

 松川さんのような「フィールドキャスト」は、全国で約8万人いましたが、そのうちの約1000人が辞退しています。

 さらに、交通案内などを行うボランティアもいますが、そちらも辞退が相次いでいます。

 札幌市スポーツ局 今野 健一 課長:「2020年の時点で登録者が529人。現時点で394人が引き続き登録していますので、辞退した人は135人です」

 札幌市に登録したボランティアのうち、約4分の1が辞退したことになります。オリンピックの1年延期で都合がつかなくなったことや、新型コロナウイルスの感染拡大の影響とみられています。

 活動への影響も懸念されます。

 札幌市スポーツ局 今野 健一 課長:「無観客でやるのか、テストイベントのように観戦自粛をお願いした形でやるのか。方針が示されたら、都市ボランティアの活動の内容も、改めて考えなければならないと思う」

 感染拡大の中、揺れるボランティア。オリンピックに向け課題が残ります。