Sihasak Phuangketkeow, Ambassador to Japan, Thailannd
シハサック・プアンゲッゲオ 駐日タイ大使が会見し、記者の質問に答えた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 渡辺奈緒子(サイマル・インターナショナル)
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2015/09/r00031797/
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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2015年10月号に掲載)
これ以上クーデターがあってはならない
タイにクーデターで軍事政権ができてもう1年4カ月余りになる。民政復帰に向けた歩みは外から見ていて何とも歯がゆい。「タイ国家改革評議会」は9月6日に憲法草案を否決し、新憲法づくりを振り出しに戻してしまった。
軍事政権はすぐに新たな工程表を作った。2016年4月頃に新しい憲法草案をまとめて8月に新憲法の是非を問う国民投票を実施。17年6月に総選挙を行い、7月に民政復帰を果たすという。シハサック大使の会見はそんなときに開かれた。
「われわれが求めているのは機能不全に陥った民主主義ではない。選挙をやればいいのなら明日にでもできる。でもそれでは解決にならない。国民和解のための時間と余裕が必要。日本には友人として理解してほしい」。大使はそう訴えた。
混乱した社会をクーデターでリセットするのはタイのお家芸と言われてきた。でも、「もうこれ以上、軍事クーデターがあってはならない。今回こそはちゃんとしなければ」。大使はタイ人として決意を込めた。タイのことはタイの人たちが決める。われわれはじっと見守ろう。真の友人として、時にはあえて苦言も呈しながら。
日本経済新聞常務執行役員
竹岡 倫示