映像は、原作者・吉本ばななの「今の時代に映画になるべくしてなった作品だと思います。」というコメントで幕を開ける。刊行から30年以上経った現在でも世界中で愛される原作が、スクリーンで新たに生まれ変わる奇跡に胸が高まると同時に、
静かに聞こえる“鈴”の音。“鈴”は、原作「ムーンライト・シャドウ」(新潮社刊「キッチン」収録作品)でも描かれる、主人公・さつきとその恋人・等をつなぐキーアイテム。そして「鈴の音が耳を離れないんです。」と続く小松菜奈演じる・さつきのナレーションに、メガホンを取ったエドモンド・ヨウ監督の原作への尊敬と愛情が垣間見える。
どこか神秘的な映像とともに流れていく、さつきと等の笑顔あふれる幸せそうな時間は、
恋人同士の何気ない日常の瞬間を切り取り、柔らかくあたたかい雰囲気に包まれる。
そして「もっと一緒にいたかったな」というさつきのナレーションと、
クローズアップされる名残り惜しそうに離れる二人の手が、先々訪れる恋人・等との別れを予感させるものとなっている。小松演じる主人公・さつきは、愛する人を失ったその深い悲しみや喪失感をいかにして乗り越えていくのだろうか。

映画『ムーンライト・シャドウ』
原作:「ムーンライト・シャドウ」吉本ばなな(新潮社刊「キッチン」収録作品)
出演:小松菜奈
   宮沢氷魚
監督:エドモンド・ヨウ
脚本:高橋知由
配給宣伝:SDP、エレファントハウス
コピーライト:©2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会

#ムーンライト・シャドウ #宮沢氷魚 #小松菜奈