東京オリンピックの新競技・スケートボードで日本勢がメダルラッシュに沸いています。8月4日もパーク決勝で19歳の四十住さくら選手が金メダルを、夏のオリンピックで日本史上最年少出場となった12歳の開心那選手が銀メダルを獲得しました。日本人選手の活躍で、スケートボードの人気も高まっています。

 街の人からはスケートボード選手の活躍に「10代の選手がこれほど活躍している五輪は今まで記憶にない」「新競技で特に日本の若い人たちが頑張っているので、とても勇気をもらえる」「友達もスケートボードをやっている人が多い。最近流行しているスポーツが国際大会で見られるのが面白い」といった声も聞かれます。

 スケートボード・男子ストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗選手(22)、女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛選手(13)の競技がテレビで放送され、若い選手が金メダルを獲得したことで、スケートボードができる東京都内の施設でも問い合わせが増えています。足立区千住関屋町にあるスポーツ施設・ムラサキパーク東京の林秀晃さんは「大会当日から子ども連れで来て『きょうテレビで見たから』『前からスケートボードが気になっていた。始めてみたい』という人が続々と来場している状況。メダルを獲得している選手もたくさんいるので、そのおかげというのは大いにある」といいます。

 若い選手の活躍は子どもたちにも影響を与えています。試合を見た子どもたちからは「技をしているところがかっこよかった」(小学1年生=スケートボード歴1年)、「四十住さくら選手の540(ファイブフォーティー)が2回連続で決まって感動した。1位を取って有名になり、自分の滑りをいろいろな人に見てもらいたい」(中学2年生=スケートボード歴7年)といった感想も聞かれました。

 スケートボード・男子ストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗選手の地元、江東区にあるスケートボード専門店・BlaZe(ブレイズ)の山口一帆店長も「堀米雄斗選手が金メダルを取ってから売り上げも増えている」「最近は子ども連れのお客さんが増えている」と話し、特に金メダル獲得以降の反響の大きさ、盛り上がりに手応えを感じるといいます。ただその一方で、江東区のスケートボード愛好家には悩みがありました。それは「練習場、競技場の少なさ」です。

 区内でスケートボード愛好会の会長を務める田所宏仁さんは「簡単に言えば『やるところがない』。誰しもが簡単にスケートボードをできる状況でないのが苦しいところ」と話します。江東区には「パーク」と呼ばれる“スケートボードをするための場所”が少なく、なかなか活動ができませんでした。田所さんは10年以上にわたって仲間と一緒にパークの設置を自治体などに要望し続けてきましたが、現実しませんでした。

 しかし、東京オリンピックの開催で状況は一転しつつあります。江東区の山崎区長は8月3日、スケートボードの競技会場を恒久施設として残す方向で東京都と調整していることを明らかにしました。田所さんは「これはもう、率直にすごくうれしい。この先、競技会場はレガシーになると思う。スケートボードが、やる人も見る人も楽しく参加できるものになっていってくれたらうれしい」と話しています。 .