ニッカウヰスキーの主力となる高級な「竹鶴17年」、「竹鶴21年」、「竹鶴25年」。
いずれもラベルに熟年数が入った3種類のウイスキーの販売が、3月末で終了する。
そして、これはニッカウヰスキーだけではなく、サントリーでも「響17年」、「白州12年」が2018年に販売休止して、キリンも「富士山麓樽熟原酒50°」が2019年に販売を終了している。
いずれも理由は同じで、「原酒不足」にある。
国内のウイスキー市場を見ていくと、そもそも減少傾向にあったことがわかる。
ただ、2008年、ハイボール人気が出て、糖類がほぼないということで、健康志向の人にも受け入れられた。
現在、右肩上がりで人気が上がっている。
そして、海外でも日本のウイスキーは高評価で、輸出も増えている。
工場を増やして増産はできないのか。
ただ簡単に造ることができないのが、ウイスキーがウイスキーたるゆえん。
どこも、もちろん増産はしたい。
しかし、ウイスキーは、蒸留してから原酒をたるで最低でも5年は熟さなくてはいけない。
つまり、最低でも造り始めて5年間は出荷はできない。
アジアで初めてウイスキーを作ったサントリーには、伝説がある。
ウイスキー工場を建てて、大麦など材料がたくさん運び込まれた。
しかし、一度も商品を出荷するところを見ない。
ウイスキーというものの存在自体を知らない周りの住民は、「あの工場はいったい何を作ってるんだ?」、「“ウスケ”という怪物を作っているのではないか」というようなうわさが立つほど、なかなか出荷ができないのがウイスキー。
また、ウイスキー造りには、「ブレンド」という重要な工程がある。
これは、さまざまな原酒を掛け合わせて、どのようなウイスキーに仕上げるのか、「ブレンダー」の腕と才能が試されるところ。
さまざまにメーカーがこだわっているが、サントリーは、全ての蒸留釜の形や大きさを変えて原酒を作り分けている。
5年先、10年先にどれぐらい需要があるか考えて原酒を仕込むのが、ウイスキーの世界。
そのため、ブームだからと急に増産することもできないというのが、なかなかつらいところだが、各社はこの人気を受けて、増産体制に向け構築している。
(2020/01/13)
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