東京都は緊急事態宣言の要請を検討する新たな基準を策定しました。オミクロン株の特性を踏まえたもので、小池知事は新たな基準の位置付けについて「命と暮らしを守る観点からの指標」と説明しています。

 2月3日に東京都のモニタリング会議が開かれ、医療体制の警戒レベルが最も深刻な段階に引き上げられました。感染状況、医療体制ともに警戒レベルは最も高くなりました。東京都医師会の猪口正孝副会長は「感染の急拡大に伴い、本人や家族が感染者や濃厚接触者となり就業制限を受ける医療従事者等が多数発生している。病床が空いていてもマンパワー不足で患者の受け入れが困難になる医療機関が増加している」と話しました。都内の病床使用率はすでに50%を超え、都は入院患者の受け入れについて重症度・緊急度の高い患者を入院とする「感染拡大緊急体制」に移行しています。また、2月2日時点での療養中の感染者は14万人近くで“都民の100人に1人”は新型コロナに感染して療養中だということが報告されました。

 専門家の報告を踏まえて、都は緊急事態宣言の要請の新たな検討基準を策定しました。小池知事は新たな検討基準について「医療提供体制の逼迫(ひっぱく)を回避して、命を守る、そして社会経済活動を継続して暮らしを守るという両方の観点からの指標」だと述べました。新たな基準は“重症病床使用率”“入院患者のうち酸素投与が必要な患者の割合”のいずれかが30~40%になると同時に、新規感染者数の7日間平均が2万4000人以上となった場合に宣言を検討することとしています。また、無症状の濃厚接触者が自宅で検査できるように検査キットを配布したり、高齢者の家庭内感染を防ぐため、65歳以上の高齢者のホテル滞在に助成金を支払うなどの対策を新たに講じることとしています。

 小池知事はこの日が節分であることを踏まえ「鬼は外というが、いまオミクロン株は家の中にもいるし、外にもいる。いつ自分や家族がかかってもおかしくないという認識を」と注意を呼び掛けました。また、都は国に療養期間の短縮や緊急事態宣言の方針の明確化などを求めたということです。