ロシアの国防省が、ロシア海軍の柱となるミサイル巡洋艦「モスクワ」が、深刻な損害を受け、その後、沈没したと発表しました。ウクライナ側は、ミサイル攻撃に成功したとしています。
こうしたなかで、ロシア国防省は「ウクライナがロシアへの攻撃を続ければ、首都キーウを再び攻撃する」と警告しています。
■“因縁”の黒海艦隊「モスクワ」爆破撃沈
CNN記者:「ウクライナ側は、ミサイルでこの船を撃ったと主張しています。情報が錯綜(さくそう)していますが、重要なのは、これがただの軍艦ではない、非常に強力で、象徴的なものということです」
ウクライナ側が攻撃を成功させたと発表したのは、ロシア海軍のミサイル巡洋艦「モスクワ」です。
首都の名前を冠したロシア海軍の柱。司令官が乗船して指揮をする、黒海艦隊の旗艦です。
今月、クリミア半島セバストポリにある海軍基地に、モスクワが入港した際の様子。全長186メートルの巨大な軍艦で、CNNによれば、529人が乗船していたといいます。
今回の侵攻で、重要な役割を担っていたといい、侵攻初日には、黒海の要所「ズミイヌイ島」を攻撃していました。
その時にロシア軍が、ウクライナ兵に対して投降を呼び掛けたとされる音声です。
ロシア軍:「あなた方は完全に包囲されている。脱出の可能性はゼロだ!整列して武器を捨てなさい。そして、我々の指示に従いなさい」
しかし、ウクライナ兵はロシア軍への投降を拒否。この時、ウクライナ兵士が言い返した「ロシア軍艦くたばれ!」という言葉が、ウクライナでスローガンになっているといいます。
このスローガンを使った切手も今週発売され、ゼレンスキー大統領も笑顔で称賛していました。
このような因縁のある黒海艦隊のモスクワに攻撃を成功させたと、ウクライナ軍が発表したのです。
なかでも、注目を集めたのが、その攻撃手段です。
■旗艦炎上・・・新兵器“ネプチューン”使用か
ウクライナ南部・軍事司令部報道官:「黒海で、対艦ミサイル『ネプチューン』がロシア海軍の巡洋艦『モスクワ』に当たり、ダメージを与えた。嵐と砲弾の爆発により、巡洋艦は転覆し、沈没し始めた」
去年公開された「ネプチューン」の発射訓練の様子。時速1000キロで戦闘機と並走。目標にピンポイントで命中させます。
ウクライナが開発した、国産の地対艦ミサイル・ネプチューン。去年配備されたばかりのウクライナ軍の最新兵器です。
今回の発表が事実なら、初めて実戦に投入されたことになります。
一方、ロシア側は、「重大な損傷」を受けたものの、あくまで火事だと主張し、原因は調査中だとしています。
ロシア国防省:「『モスクワ』で火災が発生し、弾薬が爆発した。その結果、重大な損傷を受けたが、乗組員は全員避難した」
CNNによれば、モスクワはオデーサの南およそ100キロの海上に、艦隊で任務に就いていたといいます。
米国防総省・カービー報道官:「この旗艦で、少なくとも1回の爆発が起きていて、船に大きな損害が起きている。この船は、まだ自走が可能であると見ている」
■ロシア軍・・・首都・キーウへ“再攻撃”示唆
モスクワへの攻撃を巡り、情報が錯綜するなか、日本時間の午前5時ごろ、ロシアの国営メディアがロシア国防省の発表として、「モスクワが曳航(えいこう)中に沈没した」と発表しました。
ロシア国防省の発表:「巡洋艦『モスクワ』が、弾薬の爆発による船体の損傷により、目的地の港に曳航中に沈没し、嵐の海の波で安定性を失い、沈没した」
ロシア海軍にとって、今後大きな影響が出るとみられる黒海艦隊の旗艦船沈没。ウクライナ側が攻勢を強めるなか、ロシア軍は、首都キーウへの再攻撃の可能性を示唆しました。
ロシア国防省・コナシェンコフ報道官:「もし、この活動が止まらない場合、ロシア軍は今まで控えていたキーウ周辺を攻撃します」
再び首都への攻撃が行われる可能性も出てきたなか、キーウでは、がれきの撤去が進められていて、14日だけで500発の不発弾が回収されています。
キーウのクリチコ市長は避難している市民に対し、「不発弾の処理やライフラインの復旧に時間がかかるため、まだ家には戻らないように」と呼び掛けています。
■ロシア潜水艦・・・日本海で巡航ミサイル発射
海面から、白い煙とともに打ち上げられるミサイル。ロシア国防省は14日、ロシア軍の潜水艦が、日本海で巡航ミサイルを発射したと発表しました。
日本海で訓練中のロシアの太平洋艦隊が発射した巡航ミサイル「カリブル」。敵の船を想定した目標に命中したとしています。
「カリブル」は、ウクライナ侵攻でも使用されていて、射程はおよそ2000キロに及びます。
日本海では、8日からアメリカ海軍の原子力空母「エーブラハム・リンカーン」も参加して、自衛隊と共同訓練を実施しています。
松野博一官房長官:「政府としては、我が国周辺におけるロシア軍の動向について、引き続き情報収集・警戒監視に努めて参る考えであります」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年4月15日放送分より)
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